子ども同士の差別意識。作り出しているのは大人の言動かも
日本社会では、マイノリティを受け入れ多様性を尊重する取り組みが行われていますが、いまだに差別意識が残っているのも現状です。残念ながら、子ども同士の関係の中でも、マイノリティ家庭の子どもが偏見の目にさらされたり、いじめに発展してしまう事態が起きています。
「どうして自分の親はマイノリティなのだろうか」と親に引け目を感じたり、肯定的に受け入れられなくなる子どももいるようです。しかし本来そのようなことで差別が起きること自体がおかしいことです。
心無い人の中には「親のマイノリティのせいで子どもが混乱する」という理由で、特定のマイノリティには子育ては勧められないというような事を言う人もいます。しかし、マイノリティ家庭の親子でも、必要なサポートを受けられれば大きな問題が無く生活できる事も多いでしょう。
マイノリティの人と向き合うことに混乱しているのはむしろ、周囲の大人たちかもしれません。問題はマイノリティ家庭そのものではなく、子どもたちのトラブルの背景にある、偏見や差別意識を持った大人たちの存在ではないでしょうか。
子どもは成長する段階で、自分と周囲の「違い」に気付きます。「違い」に興味や疑問を持つこと自体は自然なことですが、問題はどう捉えるかです。「違い」の捉え方は幼少期に周囲の大人の反応から学ぶ傾向があります。マイノリティとマジョリティの違いに大人が過剰に反応している環境だと、子どももそれに倣った反応をするようになるのです。
子どもが大人から物事を学ぶ時は、言葉よりも実際の行動を真似る形で吸収していくものです。子どもの前では「差別してはいけない」と言っていても、大人同士の会話の中では揶揄した事を言っていたり、対面した時に避けたり見下すような態度を取っていれば、子どもにも偏見や差別意識が植え付けられてしまいます。
マイノリティ家庭の子どもと、その子を取り巻く子どもたちの混乱を避けるためには、マイノリティ・マジョリティに関わらず、周囲の大人たち皆の意識改革が重要です。大人が、自分とは価値観や見た目が異なる相手にも尊重した態度で接していれば、子どももそれを身に付けるはずです。
大人たちが自身の差別意識と向き合い、相手を尊重してサポートしあう姿勢を示すことで、マイノリティに関する子ども同士のトラブルを減らすことができるのではないでしょうか。
また、世の中はダイバーシティ社会やグローバル社会を目指す方向に進んでいます。偏見や差別意識を持って生きることは、子どもにとっても社会にとってもメリットではないでしょう。そもそもマジョリティとはその集団で多数派であることに過ぎず、その地域ではマジョリティ家庭の子どもも、別の集団に行けばマイノリティになり得ます。
自分と周囲の違いに囚われず、互いに必要なサポートを提供して助け合うという生き方は、マイノリティ家庭の子どもだけではなく、マジョリティ家庭の子どもにとっても、社会を生きやすくするヒントになると言えるのではないでしょうか。