身体の不調は、自ら創り出しているのかもしれない
本日は、健康な体づくりをしたくて伺いました! 改めてZEN呼吸法とはどんなものなんでしょうか……?
もともとは、江戸時代の中期にいた禅僧の白隠(はくいん)が残した『夜船閑話(やせんかんな)』という著書に書かれていた呼吸法なんです。
江戸時代中期というと……今から300年ほど前からあったものなんですね?!
そうなんです。当時、一生懸命修行をして多くの禅僧が体調を崩して「禅病」になってしまったそうなんですが、白隠もその一人で。まあ、山の中で飲まず食わずで1週間ずっと坐禅していたら、そりゃ体調も崩しますよね(笑)。どんなに心が必死に修行を続けても、身体が追いつかなくなってしまう。その心と身体を繋ぐものが、呼吸だと。
おお、なるほど。
白隠は山奥に住む仙人からその秘法を教わって病を克服することができたのですが、その体験を記したのが『夜船閑話』なんです。わたしは今から15年前にその呼吸法を実践して、劇的に体調がよくなったんですよね。
だから、これはわたしが継承していかなければならないと思って。仲間にモニターをお願いして効果を検証しながら、誰でもできるようにメソッド化したものが「ZEN呼吸法」です。
椎名さんが15年前に実践しようと思ったのはどんなきっかけがあったんですか?
実はそれよりもずっと前の、高校2年生の時から原因不明の体調不良が始まってしまったんです。起きている間ずっと頭痛に悩まされるのに加えて、めまい、だるさ、吐き気も酷かったですね。歩くとフラフラするし、下を向いたら嘔吐してしまうような状態でした。
つ、つらい。
生き地獄のようでした。大きな病気になってしまったのかもしれないと思って、いろんな病院に行って検査をしたのですが、毎回異常はなく原因もわからなかったんですよね。整体や鍼などできることは何でも試しましたが、ダメだったのでもう健康になることを諦めていましたね。
もともと身体が弱かったわけではなく?
小さい頃は元気いっぱいで、運動も勉強も大好きな子どもだったんですよ。
えー!
でも中学3年生で受験に失敗して、入学した高校でいじめられたり、生徒会の仕事で夜遅くまで学校に残ったりしていたので、頑張りすぎて疲れ切ってしまったんだと思います。力の抜き方も、エネルギーの作り方もわからなかったから。
まだ未成年のうちは、大人たちからがむしゃらに頑張ることを求められる感じもしますしね。
そうなんですよ。小さい頃から、親や先生に「頑張れ!」って言われて育つから、「頑張らないといけないんだ」って思っちゃいますよね。生き物って本当はリラックスしている状態がノーマルなんです。だけど、リラックスの方法すらわからないまま成長してしまったから、当然の結果として、自分で自分を壊してしまったんですよね。
そうか……。その状態では学生生活を送るのもきっと大変でしたよね。
はい。ただ、今から30年前の高校生の時に、今でいう心療内科でいい先生に出会えて、一時期は薬で症状が少し緩和されていたんですね。当時はアナウンサーになりたいという夢があったから、大学ではアナウンス研究会に入ったり、ミスコンに出場して第40代ミス東京に選ばれたりもして。卒業後は芸能事務所に入りましたが、結局だましだまし付き合ってきた頭痛が激しくなり、体調が悪化してしまったんです。
お仕事もままならなかった?
全然できなかったですね。本当に申し訳ないけれど、ネガティブエネルギーを出しまくっていたと思います。治す方法もわからないし、この不調がずっと続いていくと思うと地獄だなって。
その後、白隠禅師の呼吸法に出会うことになると思うのですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。
一番最初のきっかけは、人からの紹介でした。お酒を飲むと血行がよくなって少しラクになるから、当時はよく飲み歩いていて。そこで出会った女性に身体の不調のことを話した時に、「呼吸法がいいよ」と教わったんです。ただその時は正直、「はあ?呼吸?」ってかなり懐疑的でした(笑)。
(笑)
だって、呼吸なんかでもしわたしが健康になったらですよ? 「止むことのない頭痛に悩まされて、病院やあらゆることを試した15年間の日々は何だったんだ!」ってなるじゃないですか。超胡散臭くて怪しいなって。
「それで治ったら苦労しないよ!」と思いますよね……(笑)。
そうそう。でも、お金もかからず自分でできるということで、その「内臓をイメージして行う腹式呼吸法」を試してみたんです。何も期待せずに続けていたら、長年悩まされていた便秘が改善して、それによって痩せ始めて。最初は、まさか呼吸のおかげだと思わなかったけれど、続けていると周囲の人にもわかるくらい変化が出始めたんです。
すごい。
それで初めて、呼吸のおかげかもしれないと思いました。後から知った話ですが、呼吸も「排泄」の一つなんですよね。米海軍で呼吸法の指導を40年来続けているDan Brule博士は論文で「人間の排泄の70%は呼気」だとおっしゃっていて。大便が3%、小便が7%、残りの20%が汗。だから、今まで体内で詰まってしまっていたものを外に出せたことでするすると痩せたし、いつの間にか頭痛もなくなっていたんです。
それは、頭痛の原因も呼吸にあったということなんでしょうか?
そう。結局、原因って酸欠だったんですよね。しっかり深い呼吸ができていなかったから、身体の20%の酸素を使う大脳に酸素が足りていなかった。わたしの場合、肩や首に力を入れすぎてしまい、脳に送る酸素を止めた状態を創り出していたということ。そこで、身体はちゃんと「酸欠です!」とSOSを出してくれていたんです。
わたしたち人間の身体って本来、疑いようのない自然物だから、自然に逆らって無理をしたり間違った使い方をすると教えてくれるんですよね。それが、痛みなどの不調として現れるんだなということに気づいて。
なるほど~~~!
不調ってつまり「調っていない」ということ。自ら調和を乱して、身体のあちこちから怒られていたわけですよ。言ってしまえば、不調クリエイター。そこらじゅう不調だったわたしは、超クリエイティブだったんですよね(笑)。
不調は自ら創り出していたと……。自覚はなかったけれど、たしかに言われてみると頷けます。
そう、まず自覚がないんですよね。冷え性も便秘も頭痛も肩こりも全部自分でクリエイトしているのでは、と考えてみるのが、まず健康の第一歩だと思います。
さらにそこから、元気に生きていくためのガソリンを作る源が実は呼吸であることに気づきました。呼吸法を始めて3か月ほど経つと、何をしてもダメだったあらゆる不調がオセロがひっくり返ったみたいにラクになったんです。
なんと……! 病院に行ったりいろんなことを試したりしたうえで、効果が抜群に出たというのは説得力がありますね。
身体が不調だと、誰かにどうにかしてもらおうって思いがちじゃないですか。今はお金で何でも買える便利な世の中ですから。でも、人間には本来持っている治癒のための機能や能力があるはずなんですよ。
身体だけは唯一、他人任せにできない存在です。呼吸は生きる源だから、それを調えることが本質的な健康の土台になるんですよね。
グサッときました……。知りたいです! その健康になれる呼吸方法を教えてください!!!