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イヌパシー開発者山入端さんと、言語を持たない動物と生きる未来を話してみた

未知の感情を探していきたい

ーー今、株式会社Langualessとしてはどんなステージにいるのでしょうか。

今は、イヌパシーというプロダクトが形になって量産できるようになったし、飼い主さんだけじゃなくて、取得したデータを法人やアカデミア向けに提供するという事業もスタートしました。

プロダクトに注目されがちですが、わたしたちが持っている技術のポイントは、開発を通して保有しているデータの面白さやデータ解析の部分なんですよね。心拍を取れることに関しては、研究者の皆さんもかなりときめいていただいている感覚があります。次は、安定的に取れたデータに、違う切り口でデータを見ていくところで勝負していきたいというステージに入りましたね。

ーーデータを提供する法人というのは、具体的にはどういったところなんですか?

犬のバイタルデータから、その子が食べるペットフードに対してどんな気持ちを抱いているのかをデータ化するところで、フードメーカーさんやペット用品を作られている会社さんとコラボして、プロダクトを作るお手伝いをしたりしていますね。

ーーなるほど、ワンちゃんにとってもご飯のおいしい・まずいはきっとありますもんね。

そう、おいしくないものに対しては結構如実に出るんですよ(笑)。実験でワンちゃんがたくさん食べたご飯だとしても、実はストレス値が高く出ているということもあって。わたしたちのデータがあることで、違う視点や新しい気付きを研究者の方々に与えられているのかなと思います。

ーーすごい、いろんな分野の発展に繋がりますね。では最後に、会社としての今後の展望や山入端さんご自身がやってみたいことがあれば、ぜひ教えてください。

そうですね。今わたしたちは、専門家さんならわかる感情をわからない人により速く伝えるための解析を行っていますが、これからは人間にはない未知の感情を探していきたいなと考えているんです。

人間が作った辞書に載っている言葉の解析はできると思うのですが、犬や猫にしかない感情というのがあるはずだと。もちろん地上の動物と同じように、クジラやイルカのような水生生物にも、彼らは彼らなりの感性を持っていると思うんですよね。

ーー面白いですね……!

すでに言葉になっているものは見つけられますけど、なっていないものは見つけられない。でも、まだ言葉になくても、機械学習をしておけば異常値として発見できるので、新しい感情を発見することは可能なんですよね。

人間もですが、おいしいやまずいでもない、嬉しいや悲しいでもない、2軸ではない別の感情も絶対にあるはずなので。

ーーたしかに。これからもっともっと感情の幅が広がっていったら、人間ももっと生きやすくなるのかもしれない。

そうですよね。今はまだ、感情のものさしが粗い状態なんじゃないかな。もうちょっと原始的な、動物の本能的な気持ちのところにヒントがある気がするし、まだ未知の感情を探していくのが今は楽しみですね。

編集部のここが「#たしかに」

わたし自身、幼い頃から常に犬がいる家庭で育ち、愛犬が嬉しそうにしているのは表情や態度で理解できると思っていました。

でも結局、それはわかった気になっているだけで、人間の勝手な思い込みだったのかもしれません。ペットを大切に思えば思うほど、彼らの本当の気持ちをないがしろにしてしまっている可能性も大いにあるなと思いました。

違う生き物である以上、根本的にはわかり合えないことを自覚した上で、寄り添い、ともに心地よく生きていける社会をつくる。

それは、動物と人間だけでなく人間同士にも言えることですよね。

言語や違いを越え、あらゆる生き物の視点が取り入れられた先にどんな未来が待っているか、今からわくわくします。

山入端さん、ありがとうございました! これからの活動も応援しております!

■Information

イヌパシー

株式会社Langualess

取材・執筆:むらやまあき 編集・一部撮影:#たしかに編集部

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