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正しい呼吸で世の中は明るくなる?椎名由紀さんにZEN呼吸法を学ぶ

美しいのにラクなのが「いい姿勢」

150先ほども少し触れましたが、「いい姿勢」と言うと、日本人の多くは胸を突き出すんですね。でも、これって全然良くないんです。

150見た目は美しい感じしますけどね。

150女性らしかったり、胸を張って凛々しく見えたりとかあると思うんです。でもこれ、生物的にはすごくしんどいんですよ。反対にラクな姿勢っていうと、今度は背中が丸まって下腹が出てしまう。電車の中だとこんな人いっぱいいますよね。

150うわ〜〜〜側から見ると酷い姿勢だけど、よくやってしまっている気がする……。

150大事なのは、腰のあたりにある仙骨(せんこつ)という背骨の土台の骨なんですね。それが、無理に胸を張る姿勢だと前傾してしまうし、だらしないラクな姿勢だと後ろに傾いてしまう。この仙骨をまっすぐ起こしたいんです。

150なるほど?

150そのためには、まず一回お尻を突き出してぷりっとさせます。胸を張っているので前傾している状態ですが、そこから、仙骨の下を指先だけ前にぐぐぐぐっと押すと仙骨が立ち、上半身が後ろにいって坐骨の上に乗っかるのがわかりますか?

150おおお、たしかに。

150いい感じです。実は今、へそ下の下腹と、腹横筋という腹筋の一番内側のインナーマッスルがキュッと締まっているんです。これがいわゆる「肚(はら)が坐る」状態。

150どっしりしてます!!!

150このどっしりと決まった肚(はら)の柱の上に、肋骨から上の上半身をふんわり乗せるイメージです。すると、横から見るとお尻と背中が直角になっているんですね。ここから胸を張ろうとしても難しいと思います。
仙骨から頭の真ん中までを、エレベーターだとイメージして、まっすぐ一直線になっていると、横隔膜と肺がちゃんと上下に大きく動けるんですね。だから深くていい呼吸ができます。

150すごい、肋骨から上は全然力入っていないからラクなのにきれい。

150そうそう、​​お腹周りを輪切りにした切り株に見立てて、肋骨から上は巨大なゼリーとかプリンがぷるんって乗っているだけ、というイメージ。頭って重いから、胸を張ったり背もたれに寄っ掛かったりすると、切り株ごと斜めに倒れて、頭を支えるための首や肩に負担がかかって、肩こりや首こりの原因になってしまうんですよ。

150心当たりしかないです。

15060年〜70年前までの日本人はみんな、この正しい姿勢をしていたんですよ。なぜなら、着物を着ていたことで円柱のように真っ直ぐに立っていたから。
それに、江戸時代は重いもの持って20〜30kmという距離を自分の足で歩いていたって言うじゃないですか。この姿勢でいることで深い呼吸ができて、たくさん動くためのガソリンが作り続けられていたということですよね。この姿勢がわからなくなっちゃったのが、現代社会が不健康になってしまった一つの理由かなと思っています。

▲1940年代後半の東京の様子。昔の日本人の姿勢は綺麗だったと、椎名さんは衝撃を受けたといいます。

150なるほど。逆に言えば、みんながこの正しい姿勢を身に着ければ、健やかに生きる人が増えて世の中の空気も変わるかもしれないですね!

150本当にそうなんですよ。

▲取材中、たしかに編集部メンバーの姿勢がどんどんよくなっていきます。

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