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『100日後に死ぬワニ』漫画家・きくちゆうきさんに聞く悔いのない日々の過ごし方

食べて、寝て、また作る。

ちなみに、きくちさんはどこまで辿り着けば、死ぬときに「良かったな」「満足したな」と思えますか?

でも割と……今突然死んでも「50点はいったかな」と思うかも。

おお、及第点はクリアなんですね(笑)。

『100日後に死ぬワニ』で良くも悪くも人生のハイライト的なこともあったし、こういう人間がいたんだなっていうのもある程度残るかなって。とはいいつつ、もっとやりたいことはあるので、まだ死にたくないです。

やりたいことが何か、気になります。

死ぬ前に、人生で起きたこととその結果をまとめた本を個人的に作ってみたいですね。良いも悪いも全部まとめて終わり!みたいな。あれ、気持ちいいだろうなって。

うわ~~いいですね~~!

結構、落差のある面白い話が描けるなと思うんですよ。『100日後に死ぬワニ』でいきなりめっちゃ上がったけど、その後めっちゃ下がったじゃん!みたいな(笑)。でも先から見たら、「あれはあれでおもしろかったんじゃない?」って思えるかもしれないし。

たしかに、なかなか経験し得ない出来事をすでに経験されていますもんね……。

そうですね、人生グラフで言えば波ができているので、現時点で50点くらいはあげてもいいかなと。今下がって悪くなったところをまたひっくり返せたら、展開的にはアツいよなーと思うんです。

かなり激アツな展開ですね。

そのアツさを出せたらいいなーと。もう何も残せず死ぬしれませんが、一応次はどうしようか考えているところです。

ご自身の人生を俯瞰的に、ある意味ゲームのように捉えているような印象を受けました。

俯瞰はしています。ゲームみたいにレベルアップしたい気持ちもあるし、パラメーターを上げるためにいろいろ挑戦しているイメージかも。

炎上などを経て苦しい時期もあったでしょうし、作品を作る中で葛藤もたくさんあると思うのですが、きくちさんはどのように前向きに切り替えているのでしょうか?

食べて、寝て、また作ることですかね。

なるほど、日々の営みをきちんと続けること。

自分を認めてあげることも大事だと思います。ネガティブなことを言われたとしても、好きでいてくれる人がいるならその部分はきちんと褒めた方がいいと思うんですよ。自惚れに見えるかもしれないけれど、応援してくれる人にも失礼になっちゃうから。

たしかに……。やっぱりきくちさんが描き続けられるのは、ファンの存在が大きいですか?

大きいです。個展をやると毎回来てくれたり、何度も足を運んでくれたりする人もいて、覚えています。あの炎上があっても変わらず居てくれて、その気持ちを裏切らないように頑張ろうって思っています。

それに、ネガティブな意見も認められる部分は認めつつ、じゃあ次はどうしようかなと切り替えて進んでいくことが大事なんじゃないかなって。

ものづくりや表現をする人には特に響く言葉だなと感じました。最後に、何か今後の野望があれば教えてください。

個展を開いたときに、朝から行列!みたいになったら気持ちいいだろうなって。ありがたいことに『100日後に死ぬワニ』で話題になりましたけど、きくちゆうき個人として知ってもらえているかというとまだまだだと思うので。

SNS上ではある意味「ワニくんを作った人」というイメージがかなり定着していますもんね。

それも嬉しいんですけど。これからは、「きくちゆうき」として確立していけるように頑張りたいです。

編集部のここが「#たしかに」


いつかやってくる死を意識しているからこそ、きくちさんは自ら人生を面白くしようとしているんだなと感じて、とても刺激的でした。

自分の人生があと何年、何日続くのか、明確なことは誰にもわかりません。だからこそわたしたちは、未来が当たり前にあると信じて、限りある時間を無駄にしてしまうことが往々にしてあるのではないでしょうか。

「やりたいことがあるなら、やるべきだ」というのは誰でもわかっていて、それでも多くの人がなかなか行動に移せない理由のひとつは、そこにあるのかもしれません。でも同時に、自ら望んで後悔したいと思う人だっていないはず。

人生にはいつか必ず終わりが来る。それに常に自覚的であることは難しいけれど、そこに立ち戻るきっかけをくれるのが、きくちさんの作品なんだと思います。

人生の最後に後悔しないために、折々で読み返してワニくん風に自分にツッコミを入れたくなりました。「だらだらしているうちに、終わっちゃうよ!」と。

きくちさん、ありがとうございました! これからも応援しています!

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取材・執筆:むらやまあき 編集:#たしかに編集部 撮影:岩渕一輝

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