どうやって人々に語りかけるのか、そこに「学びの本質」がある
森さんはリベラルアーツを通して、これからどんな社会を思い描いているのでしょうか?
今の社会が全体で向き合っているSDGsも、その先にある世界がもし「思いやりのない世界」だったらすごく悲しいですよね。どんな時でもお互いの存在に感謝して、人や物事に対しての思いやりを絶対に忘れない社会になってほしいです。
思いやりって、コロナ禍になって改めて忘れちゃいけないなって思いました。
リベラルアーツの本質は、ひとりひとりが見る世界を認め合って、お互いの存在に感謝し合うことだと思っているので、思いやりを忘れない社会になってほしいんです。
そんな中でも少しでも多くの人が思いやりの気持ちを忘れずに、「誰かのためになりたい」って思う人たちが集まるコミュニティーがあれば、素敵な社会をつくっていけるはずだと信じています。
経営者としてはどんなことを大切にしていきたいですか?
私が今までお話してきたことってアートの世界の話なんですけど、経営ってなるとロジックも必要ですよね。ビジネスの場ではロジックを強くしないといけないこともあるんですけど、やはり人が創造する世界、アートの世界を大切にする「ぶれない」経営者でありたいと思っています。
ちなみに、ぶれない軸を持つための秘訣って何だと思います?
ええっと……、お経を唱えるとかですかね?(笑)
それもあるかもしれませんね(笑)。私にとっては「人と対話すること」なんです。自分が想像している「ロジック」と「アート」の広がりや、今いる位置って意外と自分でも気づかないんですよ。
「自分が今こっちに偏っているな」と現在地を確かめるためにも、色々な人たちと知り合って、対話することが何より大切なんです。
今日のお話を聞いていると、森さんは人生の中でずっとリベラルアーツへの学びを深め続けてきたんだなあと感じました。
学びって「自分のストーリーを紡ぐ行為」だと思うんです。ただ学んで暗記するだけではなく、好奇心の旅に出て、世界や未来に自分の言葉でどのように語りかけるのかが学びの本質ではないでしょうか。
リベラルアーツは、人を自由にするために生まれた学問です。なので、自分の人生のストーリーを紡ぎつづけることができれば、どんな環境にいたとしても、本当の意味で人として自由に生きていくことができるのだと思います。
編集部のここが「#たしかに」
小学校からずっと「正解」を求めることに慣れてしまい、ひとつの正解を導き出す人が正しいと思っていましたが、社会に出てみると、正解を見いだすことが難しい問題ばかりなのが現状です。
「正解のない問い」を考えるのはとても難しいことですが、それに向き合い、身の回りの人達の話をよく聞き、「世の中には色々な見方がある」と視点をたくさん持っている方が、これからの私たちの人生を豊かにしてくれるはずだと感じました。
森さん、「正解のない問い」へ向き合うヒントを教えてくださり、ありがとうございました!
インタビュー後編では、FICCで行われているリベラルアーツの取り組みが職種も専門性も異なるメンバーが集まる社内でどのように生かされているのでしょうか?
リベラルアーツの考えから生まれたプロジェクトや、メンバーの中で変化したことなどをFICCのメンバーにインタビューしていきます。
株式会社エフアイシーシー(FICC)のHPはこちら
https://www.ficc.jp/