若い新規就農者が、続けられる農業を。
——外資から農業の世界へ転向されたとうかがい、面白いなぁと思いました!きっかけはなんだったんでしょう?
外資系金融へはもともと手っ取り早く資金をという目的と、社会人としての勉強のために入ったんです。学生時代にバックパッカーをやっていて。旅の間、自分自身とシンプルに向き合うことができ、何が好きかと自問したら、環境や持続可能性というテーマに興味があるとわかった。その視点で考えると、日本の農業って危ういなぁと思ったんです。
——なるほど。起業前提でのキャリアプランだったんですね。
1年くらいの予定が、デリバティブの商品開発という、金融の中でも最も複雑そうな面白いことをやらせてもらっていたので、「もう少し(やろう)」と思っているうちにリーマンショックが起きて…。激動の中、食事もとったかどうかわからないような日々を送り、区切りがついたのが3年目の春。自分自身もひと回り成長できたというタイミングで退社したんです。
——坂ノ途中さんは今年11周年だそうで。立ち上げ当初と現在では、どんな変化がありましたか?
11年前、会社を立ち上げた当初は「なんでそんなことやるの?」と周りにまったく共感してもらえなかった。環境負荷が少ないってどういうことかというと、農薬や化学肥料、化石燃料など、外から投入するものに依存しないとか、季節や環境に合わせた作物を選択して栽培する農業になるんですが、つまり、それって農業を変えていくってこと。既存の就農者に変化を期待するだけでは難しく、やはり、若い人にたくさん入ってもらって、新しい農業に挑戦する人たちを増やさなきゃいけない。その後押しを僕らはやっているんです。