
たった75発の花火。無観客・無告知の「非密の花火大会」はなぜ生まれたのか#たしかに

2020年7月7日、滋賀県の琵琶湖で小さな花火があがりました。その数75発。観客はいません。
新型コロナウィルスの影響で、さまざまなイベントが中止になるなか、ささやかではあるけどみんなで花火を楽しみたい。そんな思いからこの「非密の花火大会」が生まれました。
密を避けるために告知はなし。それぞれが自宅で鑑賞する花火大会。打ち上げられた75発にはどんな思いが込められていたのでしょうか。#たしかに編集部はこのプロジェクトを立ち上げた人たちに話を聞いてみたくなりました。
今回登場いただいたのは発起人の馬場真作(ばば・しんさく)さんと石田拓也(いしだ・たくや)さん、そしてクリエイティブディレクターの本田守武(ほんだ・もりたけ)さん。「非密の花火大会」が誕生するまでの裏側を赤裸々に語っていただきました。
写真:馬場さん
写真:石田さん
写真:本田さん
あるのが当たり前、そんな花火大会がなくなった
——こんにちは。今日はよろしくお願いします! みなさん普段はどんな関係なんですか?
馬場:石田さんとか、他のプロジェクトメンバーは飲み仲間ですね。よく飲んでます。
本田:僕は石田くんと同級生で、出身は彦根ですが今は東京に住んでいます。
——「非密の花火大会」は今年琵琶湖で行われるはずの花火大会が中止になったことがきっかけで生まれたと聞きました。
馬場:そうなんです。琵琶湖沿いでは彦根、大津、長浜、高島など、他にも各地で大小いろんな花火大会があるんです。それが今年はほとんどが中止になってしまいました。うちの嫁さんとか楽しみにしてたんですけどね。
石田:僕も毎年だいたい行きますね。花火大会は当たり前にあるものだと思ってました。
本田:僕は彦根の高宮町っていうところが実家なんですけど、家から徒歩3分くらいの場所で毎年打ち上げられるんです。1000とか2000発とか、スーパーや床屋とか近所のお店が協賛するくらいの小さな花火大会なんですけど。滋賀を出てもう15年になるんですが、3年前に帰省して久々に花火大会に行ったらすごい感動しちゃって。歴史的に中山道の宿場町ってのもあって、なんと100年以上続いてるんすよ。小さいけど、ずっと続いてて、毎年みんなが楽しみにしてる。1発目で僕泣いちゃったんですよね。それがないのはやっぱり切ないですね。
石田:いい話やん……。
馬場:そんなときに、5/5に滋賀県の近江八幡市で、ある花火師さんが花火を自費で打ち上げたというニュースを見たんです。花火を子どもに見せたいという理由で打ち上げたそうで。花火師さんも今コロナで大変な業種の方の一つだと思うんですが、そういうアクションを起こしているのがめっちゃくちゃかっこいいなと思って。僕たちもそういうことができないかなと思い、石田さんたちに「やりましょうよ」ってすぐに連絡しました。
石田:馬場さんから話を聞いて、何これめちゃくちゃいいやん! って思いましたね。今年は花火大会だけでなくいろんな行事やイベントが中止になっているので、馬場さんの提案にすぐ賛同しました。僕以外にも整骨院や飲料メーカーに勤めている友人など5人の仲間でプロジェクトがはじまりました。
記事をシェアする