毎日に余白を
届ける

価値観発見
メディア

空き瓶に1輪挿すだけでいい。フロリスト前田研史さんがつくりたい花が身近にある暮らし

暮らしのなかの余白を大切にするドイツの人たち

——ドイツでの生活はどうでしたか?

ドイツは社会人でも夏休みが6週間あって、働く時はしっかり働き休むときはしっかり休む。そんなメリハリのある生活が好きでしたね。

僕が働いていた店のオーナーもすごく働き者なんだけど、食べるものや飲むものにはこだわっていたり、忙しくてもコンサートがあれば少し早めにいってシャンパンを飲んで待っていたりするような、ゆとりを大切にしている人でした。


(ドイツで働いていた店のオーナーと)

これまでそういう感覚をあまり持っていなかったので新鮮でしたね。暮らしのなかにちょっとした余白をつくることで、心がずいぶんと豊かになるんだなと思いました。

——毎日あくせく働いていると、そういうゆとりは忘れがちですよね。日本の花屋さんとはどんな違いがありましたか?

ドイツはお客さんとフロリストが対等な立場だなと感じましたね。今は1年を通してどんな花でも仕入れることはできますが、やはりその季節に合う花でないと、きれいに咲かせたり長く保たせたりすることは難しいんです。例えば日本では、冬なのにひまわりがほしいと言われても何とか手に入れようとしていましたが、ドイツのフロリストは「今の季節はおすすめできない」とお客さんにはっきり伝えていました。

——「お客様は神様」ではないんですね。

一方で、常に「プロのあなたならどうするの?」と意見を求められることが多く、見習いであってもプロとして見られる厳しさがありましたね。お客さんも「フロリストが言うなら」と信頼していて、職業へのリスペクトが根底にあるんだなと感じました。

follow us
Twitter
Facebook
Instagram