学生の頃から三崎に感じてきたアイデンティティ
ーー未来さんはもともと三崎出身なんですよね?
生まれも育ちも三浦市三崎です。高校が横須賀で大学も横浜だったので、基本的には三崎から通っていました。高校の頃から、やっぱり三浦に対して自分のアイデンティティを感じていましたね。
周りの人に三浦市をバカにされた時にイラッとして(笑)。地元が好きなんだなと思いました。
ーーその感覚、わかります(笑)。
大学は建築学科で、「三浦市をどうしたら盛り上げられるか」をテーマにずっと研究していました。当時も今も、日帰りの観光客がすごく多いんです。人は来ているけれど、昼に偏っている。だからもっと時間帯が散らばれば、地域にお金も落ちるのにと考えていましたね。
ーーたしかに、まぐろが有名なぶん、特定の有名店に行列ができているイメージです。
そう。だから、夜も楽しんでもらえれば滞在時間が長くなって消費も増えるんじゃないかと考えて、気軽に素泊まりできるゲストハウスを修士論文で提案しました。ご飯は外のお店で食べてもらう想定で。
せっかくだからきちんと形にしたくて、大学院を卒業してから、勉強するために鎌倉のゲストハウスで2年働きました。
ーー本気でゲストハウスをやろうと思ったんですね。
でも、いざ三浦でやろうと思ったらなかなか物件がなくて。そんな時に横須賀市役所から声がかかったので、建築の経験を生かして2年間働きました。
その2年目のときに、三浦市がやっているトライアルステイの交流会に呼ばれて、移住したい方たちと話をする機会があったんです。実はそれが、移住者支援をやるきっかけになっています。
ーーそうなんですね。いったいどんなことがきっかけになったのでしょうか。
トライアルステイする人たちは、三浦市に移住して都内に通えるかを確かめるためにするんですけど、はじめはなかなかリスクを取れないから、実際に滞在するのは週末だけのことが多いんですね。
でも、役所は土日お休みだから、何か困ったことがあってもすぐに解決できない。それでもやもやしたまま、また週明けになってしまうから、もう少しサポートしてほしいと訴えてくる人が多かったんです。
ーーなるほど。行政だけでは移住希望者をサポートしきれていない状況だったんですね。
これは地元の三浦市民がサポートしなきゃダメだよねということで、有志団体でトライアルステイ事業をサポートすることにしました。その後、法人化してできたのが、今わたしが代表をやっている「合同会社ミサキステイル」です。