
ニーズや儲けに関係なく、美味しいものを追求したい。上野アメ横・老舗ナッツ専門店・小島さんの仕事の作り方#たしかに

上野アメ横にあるナッツの専門店「小島屋」が扱うのは、定番のナッツやドライフルーツだけじゃありません。ユニークなオリジナル商品もたくさん。
3代目店主小島靖久さんは、海外にある農園へ自ら視察したり、さまざまな企業とコラボしたり。超一流外資系ホテルや食のセレクトショップなど、コラボ実績は100社以上というから驚きです。
その人気もさることながら、小売店の枠を超えた取り組みが目指すものは?さっそくお話をうかがいましょう。
小島靖久さんプロフィール
上野生まれアメ横育ち。慶應義塾大学卒業後、大手メーカーに就職。サラリーマンとして8年、営業やマーケティングを担当した後退職し、上野アメ横にある家業を継ぎ3代目店主に。老舗のナッツ専門店として、卸、店舗、インターネットで販売するほか、さまざまな企業から依頼を受け、オリジナル商品の開発も手がける。TV・雑誌などメディア出演も多数。子供の頃から食べることが大好きという食通でもある。

アメ横には、チャンスがある。
――前編では、美味しくてヘルシーなナッツの話をありがとうございました。ところで小島屋さんは現在3代目とのこと。お店は創業以来ずっとアメ横ですか?
戦後すぐに祖父が始めた店なんです。アメ横ってもともと闇市だったのですが、アメリカの放出物資を売る店がたくさんあったこと、飴を売る店が集まっていたことから、アメヤ横丁という名がついたと言われています。
――そうなんですね。飴屋が多かったのはなぜでしょうか?
戦後、砂糖は貴重だったんです。祖父もつてで手に入った砂糖を使って、甘納豆を製造販売していたのが店の始まりです。
――なかなか手に入らないものが手に入る、特別な場所だったんですね。
僕も子供の頃からアメ横で店を手伝っていました。学校から直接お店に帰ってきて、手伝い半分、遊び半分(笑)。
――子どもの頃のアメ横ってどんな感じでした?
昔はもっと賑やかで、雑多な雰囲気もあって多種多様。それこそうちみたいな小さな店ばかりでした。今といちばん違うのは、チェーン店がなかったことでしょうか。
――チェーン店ですか?
最近はドラッグストアが増えています。あと外国の方の飲食店もよく目にします。
――たしかに、今日歩いてみて、屋台のようなお店が増えて、どこか別の街のような雰囲気を感じました。変化の理由はなんでしょうか?
お店を継ぐ人がいないというのもありますし、小売を続ける状況が厳しくなって、大変な思いをするくらいなら場所を貸して賃貸収入でと、引退するところも多いですね。場所を貸すとなるとチェーン店など大手が入って来やすく、通りの顔つきは変わります。街がキレイになっていくのは良いことかもしれませんが。
▲卸も行っているため、ナッツやドライフルーツなどたくさんの商品が並ぶ。量もさまざま。まとめ買いする方も多いそう
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