いつもごきげんに、そして実直に。
――やましゅんさんが日々大切にしている考え方や価値観はありますか?
いろいろあるけど、いつも心掛けているのは「ごきげんでいよう」ということ。特に個人店は、お店にいる人の雰囲気で味も変わってくると思うんです。
ピリピリしてる環境だと、たとえおいしいご飯が出てきたとしても何だかなって思ってしまう。だからこそ、どんなに忙しくても怒ったりしないし、「なるようになるさー」というスタンスでやるようにしていていますね。
――お店の雰囲気、すごくいいですよね。やましゅんさんのお人柄がこのやわらかい空気を作っている気がします。
うれしいです! あと、僕の人生には師匠がたくさんいて、その中のひとりに『ファンベース』という著書でも有名な佐藤尚之さん(通称:さとなおさん)がいるんですね。
そのさとなおさんの元で広告の勉強をした時、「100分の1、100人中の1人になれるものを3つ作りなさい」と言われたんです。それらを掛け合わせれば100万分の1。何か一つずば抜けた才能を持たなくても、それなりの人になれるから、と。
――たしかに、100万人分の1人と考えると途方もないですが、「100人中の1人」を3つと思えば頑張れそうですね。
そうですよね。だから、まずその100分の1をつくるために僕はカレーを好きになろうとしたんです。でもカレー好きはたくさんいるから、今は「ラムカレー」で100分の1になれるように頑張っています。
残り2つの100分の1の山はまだ見つかっていないけれど、これからちょっとずつ見つけられたらいいなあと思っていますね。
――勇気が湧きます。最後に、やましゅんさんが今後やっていきたいことを教えてください。
「羊のロッヂ」としては、やはりもっと食卓に羊が並ぶ風景を作っていけたらなと思っています。オンラインショップにもさらに力を入れていきたいし、オリジナルのたれも新しく企画中なんです。
「羊を食べるときにどうしたらいいの?」って時に、「とりあえずこのたれで食べれば大丈夫ですよ!間違いない!」という商品がひとつあると、より安心して羊が買えるかなと思って。そこのハードルを下げていきたいですね。
――オンラインショップのこれからも楽しみです!
個人的なことで言えば、カレーでもっといろんな人と遊べたらいいなと思っていて。例えば、おいしいスパイスや自分の好きなスパイスを見つけるワークショップとかあったら、おうちの料理にも生かせるじゃないですか。
あとは店主と仲良くなるのもひとつだし、本を置いておいて、新しい情報を仕入れに来るのもありだし。
食べに来て終わりだとちょっと寂しいから、お客さんの生活の一部に溶け込めるお店にできたらなあと思うんです。今、絶賛企画中でなので楽しみにしていてもらえたらうれしいです!
編集部のここが「#たしかに」
「自分は何も持っていない」から、周りの頑張る人たちを応援したいと語るやましゅんさん。
そんな謙虚で心優しい人柄に触れて、同じようにやましゅんさんを応援したいとお店を訪れる人がたくさんいるのだと思います。
ただ食べて終わりの飲食店ではなく、お客さんの生活の一部に溶け込むお店に。
思いを持って前に進み続けるその姿に勇気をもらうと同時に、「羊のロッヂ」のこれからや、やましゅんさんの新しい挑戦をずっと見守っていきたくなりました。
やましゅんさん、ありがとうございました! 今度はランチのラムカレーを食べに行きますね。
前編はこちら:ちょっと特別な日にラム肉を食べよう。西早稲田「羊のロッヂ」でラム肉の概念が変わる体験を
取材・執筆:むらやまあき 編集:#たしかに編集部