田舎暮らしを叶える “地域おこし協力隊”
――地域おこし協力隊には、いろいろなケースがあると聞きました。立夏さんはどんなお仕事をされているんでしょうか。
自治体によって違いますが、私は鹿児島県枕崎市に直接採用され、観光協会で市の観光PRを担当しています。
――枕崎市は、もともと縁がある場所だったんですか?
いや、全然(笑)。福岡で仕事をしていたことと、佐賀県に祖母が住んでいるため、九州がいいとは考えていました。海と山がある温暖な地域で絞って観光系の仕事を探した結果、見つかったのが枕崎市だったんです。
――枕崎市には、地域おこし協力隊は何名いるんでしょうか?
私を含めて現在3人です。20代の男性と40代のお母さんがいます。
――お母さんもなれるんですか?
枕崎市は18歳以上・申し込み時点で3大都市圏または地方都市等在住であれば応募可能です。その方は旦那さんが枕崎市出身の方で、家族で移住したそうです。いわゆるUターンですね。
――なるほど。戻った先に仕事があると安心できますよね。隊員になるのは難しいですか?
自治体によってさまざまですが、瀬戸内海の離島といった人気のある場所は審査も厳しいようです。私の場合は履歴書と志望動機を送った後面接が1回、その後採用の通知をもらいました。最近は、大学生が卒業後の就職先に志望するケースも増えているようです。
――社会経験がなくても、できるものなんでしょうか?
正直、厳しい場合もありますね。通常は経験を活かして欲しいと望まれることが多いと思うので。ただ私は別の意味で、着任当初は苦労しました。
――見知らぬ土地では勝手が違いますもんね。
枕崎市が地域おこし協力隊を採用し始めたのは私でまだ4人目。前例が少なく仕組みが整っておらず、活動当初は全く仕事がありませんでした。経験を活かして観光PRをと張り切っていた気持ちも空振り。あまりに仕事がないので、1日中パンフレットのシール貼りなどをして過ごしていました。
このままじゃ外から来た私の存在意義も見出せないし、自分自身成長もできず3年を無駄にしてしまう。「何のためにここに来たんだろう」と焦りました。
――PR業務を請け負うはずが、だいぶ話が違いますね…。
何度か市の担当者と話し合ったのですが、担当者もどうしていいか分からなかったんでしょうね。そして私はもどこか「仕事は与えられるもの」と思っていたんだと思います。まずはその意識を変えて、自分でどんどんやっていこうと行動を起こしました。