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絵本がキッズオペラに!? 大人も子どもも楽しめる「ふたりのももたろう」の運営チームにインタビュー

キッズオペラを通して見える子どもの成長

たしかに編集部子ども向けオペラを作ろうと思ったきっかけは、何だったのでしょうか?

村松裕子さん私自身、20年前から「子どもが見るオペラの舞台を作ること」が夢でした。舞台演出家という仕事を通して子ども達と関わっていく中で、今の子どもは表現の場が少ないと感じていたんです。

本来、子どもの表現活動のポテンシャルって高いはずなのに、多くの人が「表現者は特別な人」だと思っているんですよ。でも、そうじゃなくて。みんな表現者で、自分の表現したいことを他者に認めてもらうことで、次第に他者も受け入れていくはずなので、もっと子どもの表現する場を作りたいと思っていました。

たしかに編集部他者に認めてもらうことは、自分とは異なる人の気持ちに気付くきっかけにもなりますよね。

笈沼甲子さんそうなんです。実は私小さい頃は足が遅くて、クラス対抗リレーの時にクラスメイトが私を「何番目に走らせたらいいのか?」ってどうやって脚の速い人が私の分をカバーするかを真剣に話し合ってくれたんです(笑)。その代わり、私が得意だった音楽の時はピアノや指揮をやらせてくれて。

不得意なことと得意なこと、どちらも理解してくれて。得意な子に得意なことだけをやらせていると、得意じゃない子は息苦しいですよね。やっぱりお互いの欠点をカバーし合えることで、より良い成果が生まれることもあると思います。

村松裕子さん音楽のいいところって「子どもでも聞く耳を持っている」ってこと。それがオペラになった途端、嫌煙してしまう人もいるんですけど、もったいない。本物を知ることって教育的にも大事だと思います。

私がキッズオペラで大切にしているのが、大人が猿や鳥になったり、いい声で歌っているのを見たりして、コロナ禍で狭くなった子どもの世界が今よりもっと広がることです。芸術に特化した人を育てるのではなく、人と関わる中で必要な「自分の感情をきちんと他人に伝えられる力」を伸ばしていけたらいいなと思います。

舞台をやる前は人前でなかなか話せない子もやっていく中で、少しずつ表現することができ、日常生活でも自分の意見を言うようになるんです。それを見た時は「この活動をやっていてよかった」と思いますね。

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