全力投球で挑んだ声が、多くの人に届いてほしい
今回のMVを通じて、見た人にどのようなことを伝えたいですか?
「少しは人のせいにしてもいい」ということかもしれません。小学生の時にテストの成績が悪くて、担任の先生にめちゃくちゃ怒られて、「このままだと自分が潰れちゃう」と思ったことがありました。その時に初めて、先生のせいにしてみたんです。「僕が勉強をできなかったのは、先生がきちんと教えられなかったから」「だから先生は優しく接することができないのかな」「だったら自分がちょっと予習をしてあげようかな」と、気持ちがポジティブになりました。全部を自分のせいにして自分を責めるのではなく、少しは人のせいにして、そこから生まれた余力で頑張ってみる。僕は弱い人間だったので、そうした考えがマッチしたんだと思います。
人に対して寛容でいるのって、自分に軸があって、余裕がないとできないと思うんです。お互いに愛するものや信じることがあるから、「お前はこういう価値観だよね」と受け入れられる。でも実際の人生は、余裕がないタイミングもありますよね。そんな時に、泥臭く頑張っている僕たちのMVを見て、勇気を持つきっかけになれればなと思います。
僕、この曲に大好きな歌詞があるんです。「自分と違うの 怖いかい? 誰かを叩くと 安心かい? 分かる自分もいて… もうなんなの!?」。誰かを叩く時って、実は自分が安心しているし、最近は世の中全体がそんな風潮に覆われている。叩く対象を次から次へと探して、見つけたらゴリゴリに叩く。その根源にあるのは、自分が一人でいることの怖さかもしれません。特にSNSは、みんなが横並びに価値観を合わせないと安心できないんですよね。だから多分、自分とは違う価値観を認めたり、一つの価値観に寄せ過ぎないことが大切なんじゃないでしょうか。本当は他人ばかりを見るのではなく、今ここにいる自分を愛してあげるだけで、それが一つのカラーになる。そうすれば、優しさを持って人と接することができるんだと思います。
今回のMVって、今までの自分だったらつくれなかったと思います。7ORDERやスタッフのみんなが、同じ方向を見ていたから、良いものになったんです。一生懸命やったんですが、本当の感情を出し切れたのは、7ORDERのみんなが後押ししてくれたからです。歌いながらスコーンと頭が真っ白になるような爽快さは、今まで経験したことがありませんでした。心の底から思いを歌ったので、ぜひ多くの人に声が届いてほしいです。
編集部のここが「#たしかに」
芸能界にいながらも、周りの空気に流されない個性的なクロちゃんと、それを全力で支える7ORDERのメンバーたち。素直な3人のお話を聞いていると、なぜ多様性が必要なのか、本当の理由を考えさせられます。
多様性を受け入れることは、決して綺麗事ではないのでしょう。それは自分のためであっても構わない。でもだからこそ、今回MVに出演したクロちゃんたちは、全力でメッセージを伝えることで、世の中をポジティブにしたいと考えたのかもしれません。
MVを通じて、よりたくさんの価値観が共存する。「#たしかに」編集部も、そんな世界が近づくことを待ち望んでいます。
取材・執筆:相澤優太 撮影:御座岡宏土 編集:#たしかに編集部