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野菜のブレを許せる人を増やす。サスティナブルな農業が教えてくれた“非効率”の大切さ

少量不安定な野菜を、ちゃんと流通させる。

――農業に憧れる若い人は増えている気もしますが、実際はどうなんでしょう?

東京を中心に増えているとは思いますが、農業を続けるにはさまざまなハードルがあります。ボトルネックとなるのは、まず、生産規模が小さくなりがちという点。

——耕作放棄地は増えていると聞きますが…?

けっきょくよそ者なんですよね。都会の若い人が本気でやってきて農業に取り組もうとしても、代々農家という周りと比べたら条件は悪い。借りられる農地は、狭い、水はけ悪いなんてとこになりがちだし、設備投資も難しい。そうすると、生産量も限られてきちゃう。農産物流通の常識として、少量不安定なものは扱わないんですね。意欲もあり、志も高く農業を始めたけれど、一般的な流通企業とは取引ができず売り先がない、ってなっちゃうんです。

——なるほど…。売り先がないと続けられないですよね。

直売所に出すくらい。でも多くの直売所では、年金っていうベーシックインカムがあるお年寄りがかなり安い値段で出荷している。そこで価格でやりあうって厳しいですよね。農家をやりながら夜アルバイトをして体を壊すとか、経済的に追い詰められて断念、というのが若い農家さんのリアル。新規就農者が増えているって言うけれど、同じくらいのペースで辞めていく人もいるんです。そこで僕らが、少量不安定な野菜は売れないっていう常識を変えて、品質が良ければそれに見合った値段で流通していく仕組みを作る挑戦をしています。

――たしかに、直売所は買うにはありがたいですが、売るのは大変ですよね。

でも、今では随分変わってきました。新規就農者を増やさないと、農業が立ちゆかないってみんな気づき出したんです。でも周りを見渡すと、単発の取り組みではなく、継続して取引していきましょうって言ってるのはウチくらい。だからいろんな農家さんや、農家さんを支えたい自治体さんや地域金融機関さんから、「連携しましょう」と声がかかって経営規模をなんとか拡大しています。

坂の途中

――いい流れですね!確か2019年に、6億円の資金調達を発表していましたよね。

現場でも嬉しい変化が起きています。僕らの提携農家さんって勉強熱心な方が多いんです。そういう方をみて、周りのおじいちゃん農家さんたちも意識が変わってきた。「無農薬なんてできないってずっと言われてきたけど、うまくいってるんだったらうちにも教えてくれへんか」と頼られるようになっている。農薬を使うってお金もかかるし体にも負担なんですよね。

次は何が起きるかっていうと「うちだけじゃなくて、近所の人の野菜も買えない?」って相談がくる。そういう渦があちこちで生まれているんです。ダイナミックに農村が変わろうとしている今、僕らがやるべきは、それをちゃんと後押しすること。「この集落、丸ごとオーガニックになるから、全部買い取ってくれ」って言われた時に、「そんなたくさん買われへん」ってなったら、応援するどころか彼らの挑戦のブレーキになってしまう。だから僕ら自体の事業も伸ばしていかないと。

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