「一生をかける仕事」なのか?
ーー信濃町ってどんな場所ですか?
信濃町は長野県でも新潟県に接している人口8,000人くらいのまちです。春や秋は登山、冬はスキー、夏は湖でSUPやカヤックなど、年中通してアクティビティを楽しめるんです。国際色豊かな別荘地もあり、移住者も結構多いんですよ。
ーー西田さんも移住されたんですよね。
はい、出身は東京ですが、2016年に信濃町の地域おこし協力隊として移住しました。
ーー信濃町に来る前はどんなことをされていたんですか?
いろんなことをしてきましたが、一番長いのが美容師ですね。16歳の時から31歳くらいまで美容業界にいました。
ーー美容師とは、なんだか意外です。
よく言われます(笑)。高校の時に自立しようと思い、手に職をつけるなら……と最初に浮かんだ職業が美容師でした。お客さんに喜んでもらえるのは嬉しかったしやりがいもありましたね。でも、20代中頃になり、美容師が子供の頃からの夢だったような人たちと自分を比べるようになったりして。僕は何となくこの道に進んだので、本当に一生をかけてこの仕事を極めたいのか考えるようになっちゃったんです。
ーー「一生をかける仕事か」って考えだすと悩みそうです……。
仕事に対して迷いが出てきた頃にもっとほかの世界を見てみようと、お金を貯めては日本や海外を旅したりしました。また、きちんと英語を話せるようになりたくてカナダのカルガリーというまちへ約1年間ワーキングホリデーに行き、完全な英語環境に身を置きたくて、現地の美容室で働いていたんです。カルガリーには当時、日本人が3000人くらい住んでいたにもかかわらず、日本人の美容師は僕を含めて3人くらいしかいなかったんですね。なので、働き始めてすぐに現地の日本人のお客様からも指名してもらえるようになりました。
向こうはチップの文化で、給料よりチップが多いなんてことも珍しくはなかったんですよ。日本は美容室が多く競争が激しいので、独立して店を持つというのはとても考えられなかったけど、カルガリーなら美容師を続けるのもありかな……と一瞬よぎったこともありました(笑)。でも、帰国後は美容師からはスパっと足を洗い、次の道に進むことにしたんです。