お燗番の原点。燗酒と料理のペアリング
――今お店では燗酒と料理のペアリングも提案されているんですよね。
最初はお客さんに「料理に合うお酒を教えて」と聞かれたらオススメしていたのですが、そもそもお燗番って料理に日本酒を合わせる仕事だから、最初からペアリングして提案した方がいいんじゃないかと。それがお店の個性になると気がついたんです。
――お燗番としてイベントなどでも積極的に発信されているように思います。
燗酒って和食だけじゃなく、フレンチ、イタリアン、中華とさまざまな料理に合わせやすいんです。それをいろんな所で話していたら、『CONCENT』というイベントに声をかけていただいて。表参道にあるイタリアンレストランにフレンチや寿司職人など気鋭の料理人が集まり、料理とお酒のペアリングと音楽を楽しむ場で、燗酒を提案させてもらったんです。それが好評で、第2弾として『アマン東京』で、燗酒にフォーカスしたイベントにも参加しました。世界に向けて燗酒を発信したいと考えていたので、外資ホテルでのイベントはまさに絶好のチャンスでした。
――女性や海外セレブなど、これまでの日本酒のターゲットとは、違う層にアプローチしているんですね。
そうですね。お寿司も和食も海外でブームになっていますが、回転寿司がいきなり世界で流行ったわけではないんですよね。ニッチな層、好奇心を持った発信力のある人が生魚を面白がって食べて、その美味しさに気がついた。発信力があったからこそ、その魅力が広く知れ渡ったんだと思うんです。だから燗酒も同じように、発信力のある層に興味を持って認めてもらうのが早いのかなと。
――なるほど。でも狙いを定めても、実際『アマン東京』でイベントを実現できるのはすごいですよね。
ご縁があって本当にありがたいです。持論ですが、想いは絶対声に出した方がいいと思っています。実は双葉町で、アートを通じて復興をめざす活動を始めたんです。これも常々想いを話していたら、出会いがつながって動き出した企画なんです。