梅干しを作るなら素材にこだわるべき
ーーお店に入った瞬間、瓶に詰められた梅干しの数に圧倒されました!こちらではどのような梅干しが置いてあるんでしょうか?
ここにある梅干しは全て僕たちがつくっているものではなく、全国300種類以上の中から心からおすすめしたい16種類を厳選しています。甘いのから酸っぱいものまで、梅干しの面白い世界に気づいてもらえると思ったものがこちらです。
ーー提供するお茶もこだわりが?
はい。お茶は自然製法で作っている日本茶「つきまさ静岡工場」さんに、それぞれの梅干しと合うものを選んでもらっています。お茶を使ったオリジナルのお酒も置いてますよ。
ーー数ある梅干しの中からお店に置く梅干しを選ぶポイントってありますか?
「梅干しであることが腑に落ちるもの」ですね。例えば、「キムチ梅」っていう梅干しがあるんですけど、最終的に「キムチでいいじゃん」って思ったら選んでいなくて。
味や作り手の想いも含めて「キムチ梅」であることに素晴らしさを感じたので分けてもらっています。食べていく中で「これは素晴らしい!」と思ったら、素人の方でも関係なくお話を聞きに行きます。
ーーちなみに現在、梅の農家さんってどのような状況なんでしょうか?
やっぱり梅の王様は、生産量の7割を占めている和歌山の紀州ですね。全体的に農家さんは減っていますが、そんな中、「やさしい梅屋さん」や「梅ボイーズ」さんなどの若手の面白い農家さんもちらほら出てきていますよ。
ーー店舗以外にも、「備え梅」や梅干しづくりキット「梅子2021」(※販売終了) などの商品開発もされていますよね。
2016年の熊本地震があった時に、被災地の子供がご飯を食べられず、よだれが出ないせいで免疫力が低下し病気なったという話を聞いて。「梅干しを見ただけで解決できるのに!」と思い、「備え梅」という商品をつくりました。防災品をギフト用にしたのは、ギフトにすることで今後の災害に備えてもらう機会を増やすためです。
▲備え梅。気軽なギフトにぴったり。
梅干しづくりキット「梅子」の方は、梅干しづくりのワークショップの最中、美味しくつくるにはまず「いい梅を手に入れることだ」だと気づいて。そんな機会があれば誰でも絶対に美味しい梅干しをつくれると思ったんです。
ーー梅干しってやっぱり素材が大事ですか?
そうです。梅干しって「生の梅」でつくるので、梅と塩には一番こだわった方がいいです。青色じゃなくて、黄色く完熟したものを梅干しにすれば、より美味しくなります。
ーー今まで漬けとけば美味しくなると思っていました……(笑)
スーパーとかで販売しているものは、長い間店舗に置くために早めの緑色の状態で出すものが多いんです。でも、だんだんと成熟して黄色くなっていても栄養を吸っているわけではないので。甘さも酸味も全然違うので、「完熟」ギリギリまで栄養を吸って熟した梅を選ぶのがおすすめです。
ーーちなみに、梅干しをひと手間加えて美味しく食べる方法があれば教えてください!
梅干しは塩分と酸味が含まれているので、酢やレモン的なイメージで「調味料」として捉えてもらった方が活躍できるんじゃないかと思います。例えば、卵焼きの中にちょっと粗めに入れてみたり、梅をオリーブオイルに漬けたり、ごま油に生姜を少し刻んで漬け込んだだけでも美味しいですよ。
ーーそれなら簡単につくれそう。やってみます!