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BambooCut竹内順平さんが梅干しから気づいた「曖昧」を楽しむ大切さ

おばあちゃんの梅干しには絶対勝てない

ーー竹内さんが「梅干し」に着目した理由が気になります。

ふと「梅茶漬け」を食べていた時、梅干しって日本の代表食だと思ったんですよ。周りにいる人たちの誰に言っても納得するくらい、日本の代表食という位置付けがあるはずなのに、どうして僕は梅干しについてなにも知らないんだろうって。

色んな人に梅干しの魅力を聞いてみたけど、「健康的」「おいしい」というキーワードしか出てこない。でも、梅干しの魅力ってこのふたつだけではないはずで。それを探していくうちに、面白くて止まらなくなりました。触れれば触れるほど遺伝子のなかに梅干しが含まれているんじゃないか?と思うほど惹かれていったんです。

ーー元号の「令和(れいわ)」も万葉集の梅の花の歌より引用されているように、昔から日本人は梅のことが好きなんですよね。

当たり前すぎるくらいそばにあるものですよね。僕以外の家族は全員富山出身なんですけど、僕は東京生まれの東京育ちで。方言も喋れない、帰る田舎もない状態で、おばあちゃんも梅干しを作っていなかったので、どこか心の中で寂しさがあります。だから、梅干しを追いかけることで、その寂しさを埋めているのかなって……。

ーー分かります。「おばあちゃんの梅干し」ってだいぶ郷愁にかられます。

以前、「立ち喰い梅干し屋」のお客さんで泣いている女性がいて、声をかけてみると、「亡くなったおばあちゃんが作った梅干しがあって、それを食べきってしまうと、自分のなかでおばあちゃんがなくなってしまうと思って冷蔵庫に大事に閉まっている。だけど、落ち込んだ時だけ出して食べていて、その味にすごく近くて食べて思わず泣いてしまいました」と。

▲「立ち喰い梅干し屋」の気軽に楽しめる食べ比べセット。

僕はその時、どんな梅干しもおばあちゃんの梅干しには絶対勝てない。そこが梅干しの面白いところだなと確信しました。

ーーそんな中、漬けるおばあちゃんも減ってきていますよね。

1000年以上前から、インターネットもない時代に全国で親から子へ続いている文化なのに、こんな便利な時代になった途端、僕らの両親世代で文化がすっぽり抜けいているのも不思議ですよね。でも、なんだかんだ言っても無くなることのない文化だと思います。今の若い世代はも興味を持ってくれているようですし。世代間の受け継がれ方が変化している時代なんだと思います。

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