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「業が深いんですよね」エンターテイメント界をとことん欲深く突き進む品川祐さんの野望とは

テレビで成功している人より俺の方が幸せ、とは思わない

150こんな質問は少し無礼かもしれませんが、もともと芸人としてやってきた品川さんが、8割を監督の仕事に費やしている現状をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

150そもそも『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系列)とか、『ガキの使いやあらへんで』(日本テレビ系列)みたいなことをやりたくて、この世界に入ってきたんですよね。ダウンタウンさんは、20~30代で僕がお笑いとしてやりたいことを全部やってらっしゃった。CDもミリオンセラーで、小説も売れていて。

それは要するに「作る」と「しゃべる」なんですよ。結局今の僕の活動は、全部それに基づいているんです。漫才やバラエティ、ゲーム実況は「しゃべる」だし、ドラマや映画の仕事は「作る」。たとえその舞台がYouTubeとか別のところに変わったとしても、基本考えていることはデビュー当時と変わらないです。

150ぶれていない……! ちなみに芸人としてのデビュー当時は、何か具体的な野望みたいなものがあったのでしょうか。

150そりゃやっぱりスターになって、自分で冠番組を持って……とか思っていましたけどね。

150なるほど。割と王道というか。

150でもそういうところには辿り着かなかった。それは自分の中で悔しい思いもあるし、でも逆にそこに辿り着いていたら今のように映画を撮れていないわけで。

今はこういう映像を撮りたいとか、こんな衣装を着て、こういう風にしゃべってほしいとか。背景やアングルを決めて自分で演出できるっていう映画作りの楽しみをどっぷり知ってしまったので、これができなくなったらもう今世が終わる……(笑)。

150仕事上の割合だけでなく、映画を撮ること自体が品川さんの中でかなり大切なものになっているんですね。

150でもこれも本当に正解がなくて、インタビューでも本当に困っちゃうんですけど……。さっきの「5億円理論」じゃないけれど、「テレビで成功している人より俺の方が幸せだ」というのは、何か負け惜しみな気がするんですよね。

150負け惜しみ。

たしかに品川祐さん

150やっぱり自分の冠番組を持つことは一つの夢だったし、それを成し得ている人がいる時点で一つ、自分の中では負けたという気持ちがある。でも今ドラマの24話分を全部担当して、次は舞台の演出をして、新しい映画の監督の話もあって、2年先のスケジュールも埋まっている状態も事実としてあるんです。

150ふむふむ。

150たとえ大成功して冠番組を持てていたとしても満足していたかわからないし、一方で今も満足しているかと言われたらそうじゃない。だから、死ぬまで満足しないんだと思います。

正直に言うと、今はもうテレビで自分の冠番組を持ちたいという夢はないけれど、だからと言って今、映画作りで満足しているからテレビの世界を去ったみたいな、かっこつけたことは自分からは絶対に言いたくないです。

150なるほど……。芸人としての一つの敗北感を知っているからこそ、簡単に満足せずに実直にものづくりに向き合っていらっしゃるんだろうなと思いました。正しい言い方かはわかりませんが、どんなに監督の仕事の割合が増えてその道で成功されても、品川さんはやはりずっと芸人さんでもあるんだなと。

150そうっすね。今も、スケジュールが合って自分の好きな仕事であれば出たいし、やっぱり品川庄司のネタは作り続けないといけないよなあと思う。

ただ、品川庄司の品川として何かをやりたい気持ちはあるけれど、個人的には別にテレビじゃなくてもいいなと。今は発表の場が他にいくらでもあるから、僕らの好きにやればいいと思っています。

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