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「オンラインの方が断然交流しやすい」ってどういうこと?仕掛人・後呂さんに聞いた旅のニューノーマル

遠くはブラジルから。さすがにロボットにはびっくり!

——「オンライン宿泊」には、どんなお客様がいらっしゃるんでしょうか?

いちばん遠い方はブラジルから。20時のチェックアウトの時、「こんばんは」とあいさつする中、「おはようございます」と聞こえて。「あれ?どこですか?」「ブラジルです」みたいな。

いちばん驚いたのはロボット同伴の方。エンジニアの方が「ロボットもいいですか?NAOくんって言います」って(笑)この方、さらにオチがありました。

交流の時は、ゲストがどこにいるかGoogleマップを使いながら会話していくんですが、よく見たら位置情報がアパホテルだったんです。「え?」ってなりますよね。平日の夜だったのですが、仕事を終えて帰宅したら20時のチェックインに間に合わないからと、会社近くのホテルに泊まったそう。なんだか複雑ですよね(笑)ま、でもこういうのもオンラインならではかなぁと。

(画面右下がロボットのお客様のNAOくん)

——「オンライン宿泊」のために他のホテルに宿泊!

あはは(笑)。実は、オンライン宿泊は日々進化しています。例えばテスト運用の頃はまだチェックアウトがなかったんですよ。チェックイン〜交流して22時に消灯して終了の予定でしたが「チェックアウトもあったほうがいい」とアドバイスをいただき取り入れました。

具体的には翌朝動画を見てもらいます。たまたまですが、僕ら熊野の観光ムービーをもともと作っていて、それがチェックアウトから始まるストーリーだったんです。

チェックアウト後、熊野でどう過ごすかという提案です。それを見てオンライン宿泊が完結する仕掛けにしました。そのムービーが好評で、ゲストがみんな「熊野へ行きたくなった」「次はリアルで行きます」と言ってくれるようになったんです。

——ムービーをみて、私も熊野に行きたくなりました!

熊野の観光は、そんなにメジャーじゃないんですよ。那智勝浦エリアで宿泊客は年間36万人くらい。そこからウチを選んでもらうというアプローチだったんです。

でもオンライン宿泊だったら世界中で集客できるんですよね。70億人です。市場規模がめちゃめちゃでかくなりました(笑)熊野って本当にいいところなんです。なのでそれを知ってもらうのにオンラインは相性が良く、かつ効果的。オンライン宿泊が熊野に来る入り口になったんです。

——そもそもどうしてゲストハウスを始めたのでしょうか。

もともとゲストハウスが好きで、バックパッカーとして日本はもちろん世界中を旅しました。それで気づいたんですが、旅の楽しみは人との出会いに依存すると。

僕、昔サムライ姿で日本一周したんです。その時もめちゃめちゃ面白い人とたくさん出会いました。日本語でコミュニケーションすることで生まれるつながりから、深くその町を知ることができる。

記憶に残っている町って、面白い人に出会えた場所なんですよね。だから僕もゲストハウスをやろうって。理想のコミュニティを作って、旅の面白さをたくさんの人に知ってもらいたい、熊野のよさを知ってもらいたいと思ったんです。

——やや衝動的のような?

いやー。まったくノウハウなかったです。前職は電機メーカーの営業だったので。でも、サムライで日本一周した時に出会ったゲストハウスのオーナーに相談にのってもらいながら、やりながら整えていきました。

2019年の5月にプレオープン、正式には7月からスタート。夏はこんな感じかぁ。冬は人が来ないな、とか。繁忙期でも想定の8割くらいしか集客できず、2019年の感覚を活かして2年目はやっと苦労が報われるはずと思っていた矢先に、コロナがきて。経験が全く役に立たなくなってしまった。

——でもオンライン宿泊は順調ですよね?

うーん。でも実際は結構厳しいんですよ。だってひとり1,000円で、定員6〜7名でやっていますから。それだけじゃ固定費にも足りない。ただね、オンライン宿泊を新しい宿泊の概念にしたいとは思っていて。

コロナ禍の打開策ではなく、新しい旅の形として広めたい。そもそも旅へのハードルが高い方って、結構多いんですよ。

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