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一杯のスープから、やさしさの連鎖を生むために。スープストックトーキョーが発信し続ける理念

たった一人に寄り添うことで、世の中全体の体温を上げていく

たしかに編集部「世の中の体温をあげる」という理念について、改めて教えてください。

工藤さんどんなに忙しく過ぎていく日々の中でも、自分を大切に、やさしい気持ちでいてほしい。誰かと比べられることがあっても、その素敵な個性をすり減らすことなく、いきいきと暮らしてほしい。一人ひとりに価値があり、かけがえのない存在であると実感してほしい。​そのために、私たちは目の前にいる人の体温をあげます。体温が上がったその人から返ってくる感謝ややさしい気持ちは、私たちが次の誰かの体温をあげるエネルギーです。

たしかに編集部そう言ってもらえると「自分の居場所にしていいんだ」と思えますし、「また行きたい」という気持ちになります。ファンになる、というか。

工藤さんありがとうございます。私たちが温めた人は私たちの知らないところで次の誰かの体温をきっと上げてくれます。このエコシステムのような連鎖は、やがて「世の中」全体を温めていくと信じています。

たしかに編集部近年は家族形態や世代などによる分断が生じているようにも感じます。社会がめまぐるしく変化するなかで、食は人々にどのような豊かさをもたらすとお考えですか?

工藤さん世の中の環境の変化は激しく、社会が抱える課題もさまざまです。こうしたなかで、食を通じて、たとえば一杯のスープを通じて、一人ひとりに価値があり、かけがえのない存在であることを多くの方に実感してほしいと思っています。

たしかに編集部テクノロジーの変化や価値観の変化によって、食の楽しみ方は今後どう変わっていくと思いますか?

工藤さん誰しもが「おいしいものを食べたい」という気持ちがあると思います。一方、「健康でありたい」といった気持ちもあり、いろいろなことを考えながら食べるものを日々選択しています。時間に余裕があって料理を楽しみたい日もあれば、忙しくて手軽に食事を済ませたい日もある。食の選択はその時々の状況に応じて変化していると思いますが、これからはそういったさまざまなお客さまの要望が叶えられるパーソナライズされた食体験が広がると思います。

たしかに編集部パーソナライズされた食体験。いろいろな選択肢が増えるのは生活者にとってありがたいですね。

工藤さんそのために、「Soup Stock Tokyo」では離乳食の提供だけではなく、ベジタリアン向けのメニューの提供、咀嚼配慮食サービスなどにも取り組んでいますし、これからも研究を進めていきたいと思っています。「食のバリアフリー」を推進していく存在でありたいと思っています。

たしかに編集部スープストックトーキョーが考える「豊かな食事」について教えてください。

工藤さん私たちの理想は、あらゆる人がひとつの食卓を囲み、笑い合い、温かな食事をとれること。健康上の理由や様々な制約、またはその人の主義や信条によって同じものを食べることが出来なかったりする方もいらっしゃいます。スープは、様々な食材の個性がひとつの鍋の中で溶け合い、重なり合って旨味を深めていくもの。誰をも優しく包み込み、負担なく栄養を身体にいきわたらせていく力を持つ料理です。私たちはそんなスープにちょっとの配慮を加えて、「たった一人」に寄り添える存在でありたい。また、スープを通して世の中の課題を解決するブランドであり続けたい思っています。「食」という生活の楽しみの小さくて大きな壁を、一つずつ取り除く活動を今後も続けていきます。

編集部のここが「#たしかに」

特定のターゲット層を設定し、そのニーズを叶えるために何ができるのかを考えるというのが一般的なマーケティングの方法です。この考え方だったら、少数のお客さまを対象にした「Soup Stock Tokyo」離乳食無料提供サービスは生まれていなかったかもしれません。

スープを通してたった一人に寄り添い、その連鎖で社会課題を解決していくという理念をブレずに世の中に発信していくスープストックトーキョー。こうした取り組みが結果的に共感を呼んでファンを増やし、ブランドへの信頼につながっているのでしょう。

離乳食無料提供サービスの騒動は、自分たちは何者かを考え、自らの言葉で発信することの重要性を改めて教えてくれたように感じます。

執筆:村上佳代 撮影:Hiroki Yamaguchi 編集:#たしかに編集部

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