地元の野菜や魚がたっぷり!小さな港町で味わう絶品朝めし
ーー朝6時からやっていてびっくりしました! 毎朝、大変じゃないですか?
最初は大変でしたけど、慣れましたね。実はオープン当初は5時からやっていたんです。
ーー5時……!
市場が6時から始まるので、その前に朝ごはん食べてもらうことを想定して5時からやってたんですけど、体力的な面も考えて6時に変えたんです。でも、仲買人さんが、会社に戻る時間にパパッと食べに来てくれたり、漁師さんが仕事終わりにお酒を飲んでいったりと、意外といい感じで。
ーーお客さんは地元の方が多いのでしょうか?
常連さんは地元の人が多いですね。朝が早い市場関係の人や、大工さんなどの職人さん、男性のおひとり様。あとは、気合を入れて朝早くに着きすぎた観光客の方も来てくれます(笑)。
最近は、三浦に移住してきたり、二拠点居住したりしているお客さんも増えましたね。
ーー朝ごはんではなく「朝めし」なのは何か理由があるんですか?
朝ごはんというほど、洒落た町じゃないので(笑)。「朝めしあるべ」という語呂とか、言いやすさ、あとは漁師町っぽさみたいなところを表現するために、「朝めし」にしています。
そのせいか、皆さんお米を食べたいモードでいらっしゃるんですよね。だから、オープン当初メニューにしていたトーストは全然人気が出なくてメニューから外しちゃいました。
ーーそうだったんですね! では、おなかがペコペコなのでさっそく朝めしいただきます!
▲今回お願いしたのは、「ザ・朝の定番!サケ定食」(税込750円)。厚みのあるホクホクのサケは焼き加減も抜群。
干物やベーコンエッグなどのメインのおかずが8種類+限定メニューから選べ、そこにご飯、味噌汁(スープになることも)、野菜の付け合わせ3種、漬け物が付くスタイル。
▲三浦市初声町にある「山本養鶏場の地玉子」(税込50円)はオプションでつけることができる。
ーーめちゃくちゃおいしいです……。あたたかいお味噌汁がからだに染みわたる……。
よかった! 今日のお味噌汁は、さつまいもと油揚げ、玉ねぎを入れています。
ーーやさしい甘みが最高です。メニューのこだわりを教えてもらえますか?
はじめは実験的に、玉子かけごはんとトーストの2種類だったんです。でもさっきも言ったとおり、やっぱりごはんの方が需要が高いんですよね。するとだんだんお客さんから「ベーコンも欲しい」「干物が食べたい」って言われるようにようになって、ニーズに合わせてメインのメニューが増えていきました。
▲こちらは「まぐろのホホのひもの定食(小さめ)」(税込800円)。味がぎゅっと濃厚でおいしい。
ーもちろんメインも感動の美味しさなのですが、野菜の付け合わせが最高ですよね……。見た目も味もよくて、体が喜ぶのがわかるというか。
三崎はまぐろをはじめ、魚のお店はたくさんあるけど、野菜を食べさせてくれるお店はあまりないんですよ。だから野菜の付け合わせは絶対につけよう!と決めていました。基本的に日替わりで出すようにしています
ーーいわゆる「モーニング」というとお決まりのメニューというイメージが強いですが、日替わりにしているのはすごいですね。
付け合わせを日替わりにしているのは、わたし自身、毎日同じメニューは絶対食べたくないから(笑)。そうすることで、毎日いらっしゃる常連のお客さんも飽きずに食べてくれるんです。
それに、季節によって旬ものはとにかく変わるので、一番安く仕入れられておいしい野菜を取り入れるようにしています。
ーーすごく魅力的です。素朴で、やさしくて、自分でも作りたくなるというか。
三浦で穫れる野菜には定番の大根、キャベツ、スイカ、カボチャなどはもちろん、他にもいろんな種類の野菜がたくさんつくられているけど知られてないんですよ。でも、こうやって朝めしの野菜の付け合わせで出すことで、どんな味がする野菜なのか、どう料理すればいいのかが分かる。それで自分で作ってみたいっていう人が増えれば、三浦野菜の消費にも繋がると考えています。
食材の仕入れ先を、近所の『うらりマルシェ』か『三浦朝市』にしているのも、お客さんに「この野菜、そこのマルシェで買えますよ」と紹介できるから。農家さんから直接仕入れていますって言ったら、ハードル高いじゃないですか。
ーーたしかに! なるほど、そういうことだったんですね。ちなみに今日の付け合わせは何ですか?
まずは左から「にんじんの中華ナムル」。ごま油と塩、中華だしで和えるだけ。
真ん中が、朝市のお豆腐屋さん『高梨商店』のおからを使った「おからサラダ」。乾煎りして塩コショウしたおからに、マヨネーズとツナとコーンを混ぜればOK。
右が「生野菜のサラダ」。水菜、からし菜、わさび菜、ホワイトセロリ、ルッコラを使っています。ドレッシングは、甘みのあるアロマレッドニンジンを使った自家製ドレッシングですね。
家庭にある調味料で簡単に作れるものばかりですよ!
ーー三浦の野菜をお土産に買って、家で作ります!
はい、ぜひ! あとは、お米にもこだわっています。普通の白米だと、結局家で食べるご飯と変わらなくなってしまうので、精米具合が5分づきのお米と白米を混ぜてオリジナルにしているんです。
玄米だと好き嫌いもあるから、米屋さんで少しずつ精米具合を変えてもらって炊いてみたら、これが一番おいしかった。
ーーやわらかいけれど、少し芯もある絶妙な触感でおいしかったです。
よかったです! 当初からガス炊飯器を使っています。早く炊けるっていうのと、やっぱりおいしいんですよ。おばあちゃんちもガスでお米を炊いていたから、他の選択肢はなかったですね。
ちなみにお店をはじめるときに、大きいガス炊飯器を探していて、「どれが安くていいですか?」ってガス屋さんに聞いたら、「うちに5合炊きの炊飯器あるからあげるよ」って本当にいただいて、今でも使っています(笑)。
ーーははは(笑)。未来さんのお人柄と町のあたたかさを感じますね。新メニューはどんなタイミングで出すんですか?
わたしの気分ですね(笑)。季節に合わせた野菜や大量にもらった魚で作れるものをレアメニューとして出しています。
例えば夏は、食欲がなくてもさっぱり食べられる三浦野菜だけで作った「山形だし」風のものを出したり、大量に大根が収穫できる季節になったら大根カレーにして出したり。
ーーうわあ、だしも朝カレーもいいですね!
同じメニューだと、作るわたしもやっぱり飽きてきちゃう。盛るだけでラクで、何か違うもの作りたいなあとメニューを考えると、だしとかカレーになるんですよね。カレーを出すタイミングも気分だけど(笑)。
ーーその感じもいいですね(笑)。ゆったりとした三崎の空気に合っている感じがします。
この前、あるべが定休日の時に、せっかくだから他のお店の朝ごはんを食べに行ったんです。朝ごはんを外で食べるということに、わたし自身も特別感を得たというか。やっぱりいいんだなあと再認識しましたね。
ーたしかに、特別感ありますよね。今日始発で三崎に来たのですが、電車から見える朝焼けがすごくきれいで、あるべの朝めしもおいしくて、早起きしてよかったなと思いました。
早起きしてきちんと朝ごはんからはじめると、一日が長いし、得した気分になりますよね。
ぜひあるべの朝めしから一日を始めて、三浦半島・三崎での時間を長く楽しんでもらえたらと思っています。まぐろだけではない、三浦のおいしい食材を知るきっかけになったらうれしいです!
編集部のここが「#たしかに」
朝めし屋さんの営業時間に間に合うように早起きをして、おいしくてあたたかい朝めしで一日を始めると、こんなにも多幸感に溢れるものかと驚きました。
ただおいしいだけでなく、朝めしを通して地元の食材に触れ、自分でも実際に買って真似してみたくなる。それが結果的に地域へと還元され、地元を盛り上げることに繋がっていく。
そんな「三方良し」な未来さんの仕掛けに脱帽でした。ちなみに編集部員もその仕掛けにまんまとハマり、帰りに三浦野菜を買って帰りました(笑)。
未来さんありがとうございました!
後編はこちら:
朝めしに移住者支援。自らがロールモデルになり、三浦市での暮らしにワクワクを仕掛ける未来さんの仕事とは
朝めし あるべ
所在地:神奈川県三浦市三崎5丁目1−10
お問合せ:046-876-8492
営業時間:06:00〜10:00
定休日:月・火
駐車場:なし
お支払い方法:現金、クレジットカード、電子マネー、QR決済 利用可
ホームページ:https://www.facebook.com/asameshiALBE/
取材・執筆:むらやまあき 編集・取材撮影:#たしかに編集部