人生考えたら、何か、ちゃんとやりたい。
――前編では、スパイスカレーのレシピを教えていただきました。後編では福満堂さんのカレーに小麦粉を使わない理由から、うかがっていきたいと思います。
実は僕のカレーの始まりは、サラリーマン時代に通っていた、大好きなカレー屋さんが店を閉めてしまったことがきっかけなんです。
――そんな理由があったんですね。
僕、頭痛持ちなんです。でもその店のカレーを食べるとなぜか、体調が良くなるんです。辛いものを食べて、血流が良くなるのかなぁ。人それぞれあると思うので一概には言えませんが。あくまで自分の場合は効果があったので、足繁く通っていました。
――スパイスで免疫を上げる、という話も聞きますもんね。
そうそう、スパイスは漢方薬の材料にもなるので。ターメリックはウコンですし。数年前にブームになりましたよね。ウコン。
――ウコンはアルコール対策にも良いのですよね。
味はもちろん体にも嬉しいカレーで。閉店したけれど、どうしても食べたいと思ったんです。今は便利ですよね。ネットで調べたら同じように考えているファンがたくさんいて。味に関する情報がたくさん見つかりました。それを参考にしながら自分なりに研究を重ね、味の再現に成功したんです。
――すごい情熱!そんなことできるんですね。
そのお店が、小麦粉を使っていなかったんです。これはお店でも告知していた情報なので間違いないです。
――なるほど。好きな味を追求した結果、グルテンフリーというわけですね。
2年くらいああでもない、こうでもないとスパイスと格闘し、繰り返しカレーを作って、完成したのが2015年。ちょうどその頃、母方の祖父母宅の空き家問題が浮上し、自分としては思い入れのある場所だったのでどうにかしたい。そう考えたんです。
――どうにか、というのは実際に住む、ということですか?
もともと洋品店をやっていた場所だったので、何かお店ができないかな、そう考えました。
――それまで、サラリーマン一筋ですよね?急にお店をと?
しかも岡山県です(笑)。カレーのレシピも完成したし、できるんじゃ無いかとわりと真剣に考えました。
――でも、そういうのって、タイミングありますよね。
具体的に検討したのですが、やっぱり岡山県は無理だなと。住んで馴染みがあるわけでもないし、過疎化が進んでいる地域なので、リスクが大きすぎると判断しました。でもお店をオープンする夢は本気で叶えたくなり、当時住んでいた家の近くで物件を探し始めました。
▲キッチンとカウンターを隔てる仕切りは、常連の大工さんが施工してくれたそう。たくさんの人に支えられている。