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# 小さな挑戦ができる場所
クマゴローカフェ / 牛久保星子


「クマゴローカフェ」店主がたどり着いた、ライフステージが変わっても飲食店を続ける方法
「自分のお店を持つ」って憧れますよね。
でも、人生には変化がつきもの。
結婚や出産など嬉しい変化もあれば、病気や介護のように戸惑う変化もあります。お店の経営者はそんな変化と日々どう向き合っているのでしょうか。
JR福井駅から5分ほど歩いた場所にある「クマゴローカフェ」は、もともとは“カフェ”としてオープンしたお店。しかし、店主の出産をきっかけに、オープン当初とはまったく違う形態に変化していました。
今回は、クマゴローカフェ店主の牛久保星子(うしくぼ・せいこ)さんに、お店のオープンから自身の出産、そして現在までのことを振り返っていただきます。

クマゴローカフェ
福井駅から徒歩5分にあるニシワキビルの1階をリノベーションし、2015年に誕生したカフェ・ダイニング。現在はモーニングと店長が不定期に入れ替わる営業で、定食やブラジル料理、だしまきたまごのサンドイッチ、公務員によるバーなど、さまざまな形態のお店が話題となっている。
ーー「クマゴローカフェ」はビルの1階をリノベーションして生まれたお店なんですね。
この辺りは福井駅からも近く、昔は飲み屋街だったそうです。このビルは「ニシワキビル」という名前なんですが、私が出会った頃にはすでに何年も空きテナントになっていました。昔はスナックや居酒屋、クラブやダンスホールが入っていたそうで、私たちは「スナックランド」って呼んでいたんです。
ーーこの物件と出会いは?
福井駅前の空き家や空き店舗などを活用して事業化を目指す「リノベーションスクール」で出会いました。私はその受講生で、「このビルでカフェをしよう」とプレゼンしたことがきっかけで、仲間たちと「クマゴローカフェ」を立ち上げることになりました。
今は会社をつくり、1階の「クマゴローカフェ」をはじめ、このビル全体の管理・運営をしています。

▲「クマゴローカフェ」店主の牛久保星子さん
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いつ来ても受け入れてくれる場所がほしかった
ーー名前に「クマゴロー」とついてるのは、牛久保さんがクマ好きだから…とか?
ここが昔「居酒屋熊五郎」というお店だったので、そこから名前をいただきました。ビルのオーナーから「居酒屋熊五郎」での思い出話を聞き、少しでもその時の思い出が残せないかなと思って。さらに新しい人も気軽に来れる場所になればと思い、親しみやすくカタカナにしたんです。もちろんクマも好きですけどね(笑)。
▲「居酒屋熊五郎」だった頃の暖簾が残る、リノベーション初期の頃
ーーたしかに、漢字で「熊五郎」だとゴツい印象ですもんね(笑)。
名前はカタカナになりましたが、今でも「居酒屋熊五郎」時代の常連さんがお店に来てくださるんですよ。そういうのって嬉しいですよね。
ーー「カフェ」にしたのはどうしてですか?
私の出身は群馬県なんですが、2014年の10月に地域おこし協力隊として福井県越前市にやってきたんです。周りのみなさんに良くしていただいたのですが、腹を割って話せる友人はあまりいなくて。寂しくて、昔住んでいた東京時代の友人に泣きながら電話をかけたこともありました。
そんな時に1人で気軽に入れる場所ってなんだろうと考えていたんです。居酒屋は夜しか入れないし、定食屋はごはんを食べるだけ。カフェならごはんを食べてもいいし、お酒を飲んでもお茶飲むだけでもいい。いつ来ても受け入れてくれるような開かれた場所っていいなーと思い、「クマゴロー”カフェ”」にしました。