日常に寄り添うおにぎりを。天職だったライターの仕事を離れ自分のお店を持った杉江さおりさんの食への想い

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2021.04.16.Fri.
#たしかに編集部

マルシェで気軽に食べられるものって?

ーー「おにぎりやさん」は2015年から始められたそうですね。

はい、私はもともとライターの仕事をしていて、7年ほど前に愛知県半田市のプロモーションの仕事に携わったんです。

その仕事の中で地元の醸造文化を知ってもらおうと、「味噌玉づくり」のワークショップを企画したのですが、その時に土鍋で炊いたごはんでおにぎりを出しました。

ーー杉江さんご自身で?

はい。うちでは昔から土鍋でごはんを炊いていたんですが、これが美味しいんですよ。そのワークショップでも提供してみるとすごく好評で、おにぎりも喜んでくださったことにびっくりして。これまでのライターの仕事にはなかった達成感を感じたんです。

土鍋で炊いたごはん

ーーその時の経験からおにぎりを販売しようと?

結果的にはそうですが、その時は「おにぎりやさん」をやろうとは思ってはいなかったですね。

おにぎりがいいなと思ったきっかけはもう一つあって、私は週末に開催されるマルシェに行くことが好きだったんですが、そこで販売されているフードはお菓子やパンなどの粉物が多かったんです。お弁当は売っているけど、一つ食べると満腹になってしまう。もっと気軽に食べられる昼食がないかなと日頃から思っていたんですよね。

ーーたしかに、せっかくマルシェに来たらいろんなものをつまみたいような。

そんな時に、味噌玉ワークショップを一緒に開催した友人がマルシェを企画することになり、「あの時のワークショップで出したおにぎりで出店してよ」と勧められたんです。

「ただの塩むすびだけどいいの?」と思いましたが、たしかにおにぎりなら一つ食べてもおなかいっぱいにはならないし、いいかもしれないと。その二つの出来事がきっかけで「おにぎりやさん」を始めることになりました。

ーー“満を持して”というよりは、友人に背中を押してもらってのスタートだったんですね。

ちょうど世の中のマルシェブームに乗れたのはラッキーでしたね。おかげさまで出店するたびに顔馴染みの常連さんが増えていきました。

イベントやマルシェに出店したことで新たな食材と出合ったことも

▲イベントやマルシェに出店したことで新たな生産者さんと出会ったことも

ーー「おにぎりやさん」はその時からの名前なんですか?

そうですね。出店を決めた後に「明後日までに名前を考えてね」と言われ、あれこれ考えたものの、最後は「シンプルにしよう」と全部ひらがなで“おにぎりやさん”にしました。時間がない中で決めましたが、今となってはこの名前でよかったなと思っています。

ーーよかったというと?

私もそうですが、人って「あそこの角のパン屋さんがさ〜」とか、意外とお店の名前を知らないことが多いんですよね。イベントに出る時に店名だけパンフレットに載っても何のお店かわからないけど、「おにぎりやさん」だと店名とお店の内容が一度にわかるので一石二鳥なんです(笑)。

名前を変えようかなと何度も思ったけど、結局今もこのままですね。

ーー店舗を構えることは以前から考えていたんですか?

いえ、この5年間の間に「そろそろお店を持ったら?」と友人から物件を紹介してもらったことはありました。でも私は当時、平日はライターをやって週末は「おにぎりやさん」をやるバランスが心地よかったんです。それを崩すほどやりたいことかと言われると、なかなかふんぎりがつかなかったですね。

ーーそんな杉江さんが、ライター業をやめてまで店舗をつくろうと思ったのはなぜ?

新型コロナウイルス感染症の流行がきっかけです。イベントの中止が相次ぎ、おにぎり販売の場がなくなったことと、ライターとして仕事をしていた雑誌も月刊から季刊や廃刊になり、自分の働き方を見直さなくてはと思っていました。

自分でも天職だと思うライターの仕事を続ける選択肢もありました。でも、今後は誰かのものを紹介するよりも、自分が楽しみながら見つけてきたものやつくったものを届けたいなと思う気持ちが強いことに気づいたんです。

その時におにぎりやさんの活動に本腰を入れようと決心しました。でもイベントがないから手段がない。それならお店をつくろうと思ったんです。

「おにぎりやさん」を始めることになった建物

▲自分がお客さんの立場だったら安心で利用したくなるテイクアウトの形をとったと杉江さん。この建物の1階で「おにぎりやさん」を始めることに

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