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LIFULL STORIES編集長にインタビュー!
「メディアの一番の読者は、きっと自分なんです」

社会全体よりも一人一人に目を向けて行きたい

たしかに編集部LIFULL STORIES」での取材者はひとつのテーマに絞らず、あらゆる人々に焦点を当てていますよね。いつも取材する方はどのようにして選んでいるのでしょうか?

田中さん編集部で今世の中で話題になっている社会課題や、自分たちが経験上感じてきた「枠」を洗い出しています。そのあと、その課題や枠に関連した「既成概念に囚われない生き方をしている人」を探しています。

実際にメディアを見て、「多様性」を感じる方も多いかもしれませんが私達は「多様な社会であるべきだ」ってことを一番に伝えたい訳ではないんですよ。


たしかに編集部と言いますと?

田中さんもちろん多様な社会になって欲しいのですが、多様な社会って多様な視点、意見が存在している社会だと考えているので、何かメディアを通して正解を示したいわけではなく、一人一人の異なる声を伝えていきたいなと思っています。

例えば「女性の役割は大変だ」というトピックであれば、その声も伝えつつ、あえて男性側や、男女軸じゃない視点で「女性の役割って何だろう?」「男性側にはどんな思いがあるのか」も考えます。物事は多様な側面で形作られているからこそ、一つの問題を一方向だけ見てわかった気にならないように意識しています。

田中さん

たしかに編集部現在、「多様性」と言う言葉が世の中でたくさん使われていますが、お互いの価値観を認め合うことよりも、相手の価値観や考え方を主張し理解してもらうことだけに重きを置く主張が多いなと感じています。それについて​田中さんはどう思いますか?

田中さん主張って言うのはあくまでその人固有の「ものの見方」が現れたものだと思っています。SNSも然り、「そうあるべきだ」って他の人にも同調を強いる言葉に疲れちゃいませんか? 

ネットって不特定多数の人が見ているから、多かれ少なかれ影響があることだと思うので、主張する時は「私はこう思うんです」程度でいいと思います。

以前、料理研究家の土井善晴さんがTwitterで、「私に対してDMで反論するのはいいけど、多様な価値観の人がいる場で嫌いと言うのはダメ」と発信していて、すごく共感しました。


たしかに編集部ちなみに、#たしかに編集部は取材のテーマや人選は色々と思い浮かぶんですけど、編集部内で意見が食い違って「決められない」ってことがひとつの悩みなんです。

田中さんすごく分かります(笑)「LIFULL STORIES」編集部もテーマが決まったと思えば「何を作りたいんだっけ?」って振り出しに戻ったりして、最終的にたどり着いた時には脳みそがからからになっていますよ(笑)。

やっぱり、チーム内でいかに「ぶらさない」ポイントを積み上げていくかが大切で、そのためにはメンバー同士で話し合いを重ねていくしかないかなと思います。

たしかに編集部編集部を超えたアドバイス、ありがとうございます!今まで扱ってきたテーマで一番苦労したのって何でしょうか?

田中さんそれはジェンダーについて取り扱った時ですかね。このとき「もうこれ以上は理解し合えない領域なんだ……」って悟るくらい話し合いが本当に難しかったです。なぜなら私は女性として生きているので、男性として生きている人達を理解できない部分もあって、話しているとお互いに被害者意識になってしまったりして、話が噛み合わないこともありました。
だけど、どんなに難しいトピックでも最終的には読み物になるので、誰かを加害者・被害者にしないか、という点だけは特に気を付けてまとめるようにしています。

たしかに編集部LIFULLさんはジェンダーについての映像「ホンネのヘヤ」(2021年)も作っていますよね。一般企業が見過ごされがちなジェンダー問題を形にする活動には驚きました。

田中さんLIFULL STORIES」編集部とは違う組織の作品ですが、作っています。「ホンネのヘヤ」は対話を通して、性別やジェンダーの多様性を考えるコンテンツです。映像にはLIFULLの社員も参加し、社員自身もジェンダーと多様性について学ぶ機会になりました。


たしかに編集部その他にも活動はされていますか?

田中さん2021年には「ホンネのヘヤ」に加えて日本でまだあまり知られていない、年齢に対する偏見・差別を表す「エイジズム」に焦点を当てた「年齢の森」も発表しました。LIFULLと色々な人が関わって、多様な人たちの多様な考えを伝え、一人一人が考えるきっかけを作って行きたいです。

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