大人が見ても楽しめるクオリティに
続いて、舞台の魅力についてお聞きできればと思います。ももたろうを2つの視点で読むために、絵本では作りが「じゃばら構造」になっています。今回はどのような演出になるのでしょうか?
今も色々と試行錯誤をしていて、まだ完成版ではないのですが(笑)、そこは脚本家とも相談して、2つの桃が流れてきて……と、子どもが見ても前の話を忘れないようにしていますので、ご安心ください。
舞台の演出って演出プランに沿って俳優に演技指導しているイメージが強いと思うんですけど、うちのチームでは「みんなで作っていく」ことを重視しているので直前まで決まっていないこともあるんですよ。出演している人の背景がバラバラだからこそ、このメンバーじゃないと出来ない舞台を目指しています。
稽古の様子
「こう終わります」って先が見えている方が安心かもしれないけど、終わりが見えていない方が楽しいんです。その代わり、着地させないといけないというプレッシャーはあります(笑)。
それに、舞台って観客の方と一緒に作るもので、観客の方の盛り上がりは舞台に変化をもたらすんですよ。
観客も舞台を作るひとつの要素になってくるということですか?
そうです。だけど、私達の方から観客の方に対して「ここを注目して見てください!」っていうポイントはなくて、ただ何かを感じてもらえたらいいんです。「衣装が可愛かった」や「音楽に感動した」ってそれだけでも嬉しいんですよ。
実はオペラってどうしても敷居が高いイメージがあったのですが、今回はオペラ初心者でも見に行って大丈夫でしょうか?
もちろんです。今までオペラを体験したことがない人でも、親しみが持てるように「未体験のミュージカル・エンターテインメント キッズオペラ」という風に名前を付けました。
今回の目玉は、オペラ歌手と歌わない役者が混ざって舞台に出ることで演劇的要素が強くなっているので、初心者の方や子ども達がすんなりとオペラの世界に入っていけるようにしているので、どなたでも気軽に見に来てください。
最後に、キッズオペラ「ふたりのももたろう」にかける思いを教えてください。
キッズオペラということで「子ども向けの舞台なのかな?」と思う人も多いのですが、日本を代表するオペラ団体で活躍している方をキャスティングしているので、大人が見ても楽しめるクオリティになっています。
今、色んな意味で隙間のない世の中になっていて、優秀な子は大人が求める答えを伝えることもあると思うんです。だけど、子どもの感性を潰すのではなく、この舞台を通して子どもの感性を育んでいけたらいいなと思います。
子どもの知的好奇心を刺激するきっかけになればいいと思います。絵本の趣旨としても、みんなが仲良くなればいいということでもなく、子ども達の溜まっていた感情を吐き出して、感情豊かになってほしいと思います。ご家族やご友人の方とぜひ見にきてくださいね!
編集部のここが「#たしかに」
編集部一同、「絵本がオペラになる」と聞いた時はとても驚きましたが、おふたりの話を聞いていると、徐々にイメージが湧いてきて、このおふたりなら絵本とは違った解釈で多くの人を楽しませてくれると確信しました。
春の思い出作りに、キッズオペラ「ふたりのももたろう」はいかがでしょうか?
家族や友達同士でも楽しめる作品になっていますので、ぜひご覧ください〜!
〈チケット情報〉
昨年出版した絵本「ふたりのももたろう」が、キッズオペラとして2023年4月4日、4月6日に東京都中野区・調布市で公演されます!
また、その公演では、子どもたちの“音楽や演劇を楽しむ機会“の格差をなくすため、地域の社会福祉協議会と連携し、困難を抱えるご家庭のお子さん・保護者の方や、児童養護施設の子どもたちを無料で招待します。
まずは100名の無料招待枠の創出に向け、クラウドファンディングが始まりました。
READYFOR
取材・執筆:吉野舞 編集・取材撮影:#たしかに編集部