みんなが下を向いている今なら、上を向くだけでいいと思った。
——「オンライン宿泊」が注目されているそうですね。
ありがとうございます。3ヶ月連続稼働率100%を達成し、ご予約もたくさんいただいています。オンライン宿泊をはじめたきっかけは、もちろんコロナのせい。いや、でも、コロナのおかげだと今は言えますね。
思いついたのは4月の初旬。まだ緊急事態宣言は出てなかったけれど、ピリついた空気が町じゅうにありました。「ここで出したらまずい。この町で生きていけなくなる」と不安でした。
Facebookを立ち上げると、知り合いがみんな「休業します」という状況で、ウチもやっぱり休業かと悩みました。とはいえ実際はお客さんから次々とキャンセルの連絡が入り、実質休業状態でした。
——先行きが見えず、みんな不安でしたよね。
でも不安がってもしょうがないなぁと。逆に考えると今めちゃめちゃチャンスじゃない?と。みんなが下を向いている中、上を向くだけでいい。休業じゃない選択で動いたら目立つんじゃないかと。そんな時見つけたのが「オンライン銭湯」だったんです。
——「オンライン」と「銭湯」がつながるんですね!なんだか想像がつきません(笑)。
めちゃくちゃシュールなんです。1時間ずっと蛇口からお湯が湧き出るだけの映像で、「BGMにどうぞ」って(笑)しかも公開2〜3日目で、既に再生回数が2万回を越えていた。「何これ?めっちゃバズってるやん!」って。それなら宿泊もいけるんじゃないの?と考えました。
この頃はまだ、オンラインでメジャーなのは飲み会くらい。でも飲み会ってイメージできますよね。みんなで一緒に乾杯して飲むんでしょ?と。かたやオンライン宿泊は想像できないじゃないですか?「どういうこと?」と。
これは実現できたら注目される!家にいなければならない状況で宿泊できたら、自粛生活を楽しくできるという思いもありました。
——イメージできないからこそ、難題ですね。
もともとゲストハウスに来る方は、泊まることより交流を楽しみにしている方が多いんです。なのでコンテンツは交流をメインに考えました。チェックイン後ゲストハウスを紹介しながら。
実はやってみて分かったのですが、オンラインの方が断然交流しやすかったんです。Googleマップや写真共有サービスなどのツールを使うことで、ゲスト同士がお互いを深く知ることができたんです。
——具体的にはどんなことをするんでしょうか?
web会議サービスのzoomを使って行っています。ゲストには20時に同時にチェックインしてもらい、僕が進行役となってゲスト同士の交流を深めていくのが主な内容です。
「Livecanvas」という写真共有サービスを使って、”最近ハマっていること”や”オススメスポット”などをアップしてもらい、それを見ながら会話するんですが、これが結構盛り上がるんですよ。
Googleマップも表示して、ゲストが今どこにいるかも分かるようにしています。これも会話が弾む秘訣。宿泊している気分を味わってもらおうと、 館内の紹介もゲスト目線カメラを用意して行っています。