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自分を裏切らないために。昆虫食クリエイターの篠原祐太さんが批判に翻弄されず、好きなことを貫く理由

自分の「好き」が世界の誰かひとりに刺さるはず

たしかに編集部篠原さんは昨年第一子が生まれて、パパになりましたよね。子どもが誕生して、ご自身の中で変化したことはありますか?

篠原さん僕は今まで、昆虫類や哺乳類など色んな生き物と暮らしてきたんですけど、子どもはどんな生き物よりも感情移入してしまう存在ですね。

それに子どもって自分の分身のような感覚で、虫を捕獲している時や料理の仕込み中も「今、何しているんだろう?」って考えてしまうんですよね。こんなに常に考えてしまう感覚は人生で初めてなので、とても新鮮です(笑)。

たしかに編集部人生で一番昆虫のことを愛してきた篠原さんにとって、子どもの誕生は大きな出来事だったんですね。

篠原さん僕は子どもが生まれる前までは、社会に対しての関心が特別強いわけではなかったんですけど、子育てって政治に関わることだと気付き、「社会ってこうあってほしいな」と考える時間も増えました。それこそ子どもが成長していく過程で自分の好きなことが出来たら、僕のように周りの目を気にするのではなく、信念を貫いて、とにかくチャレンジして欲しいと思うんですよ。

たしかに編集部世の中には自分の好きなことが他人から「エッ!」って思われていて、カミングアウトできない人が沢山いると思うんですけど、そんな人にはどんなアドバイスをしますか?

篠原さん僕も国連の一機関であるFAOが発表した『食品及び飼料における昆虫類の役割に注目する報告書』の記事がなかったら、あのタイミングで言えていなかったと思うので、もし「ちょっと言ってもいいかな……?」という気持ちが生まれたのなら、テンションで言ってしまうのも大切かなと思いますね。

それに、どんなことでも、カミングアウトした先に共感してくれる人が見つかりやすい時代になりつつあるなと感じています。好きなものを突き詰めると、人生も変わっていくので、自分の気持ちだけは裏切らないでほしいです。

たしかに編集部最近はSNSなどを通して、共通の趣味や志向を持つメンバー同士が繋がりやすくなったのも、カミングアウトする上でのひとつの手助けとなっていますよね。

篠原さんそうですね。世界の人口が80億人いる中で、流石に誰かひとりには自分の好きなことが刺さるはずだと思うんですよね。また、自分が思いを込めて話していると、他人が好きじゃなくとも、応援してくれる人は必ず出てくるはずだと思うので。

たしかに編集部篠原さんは、これから昆虫食をどんな風に広めていきたいですか?

篠原さんここ近年、昆虫食が注目されていて、色々と話題になることも多いんですけど、昆虫食のようなニッチなものってどんな形であれ、知られないことには始まらない側面もあると思っています。そんな中、昆虫食が10年後「環境にいいって言われて流行っていたけど、あんまり美味しくなかったよね!」って捉えられたら勿体無いと思っていて

なので、昆虫食が「食事の1品として選択肢が増えればいいかな」くらいの気持ちで、ANTCICADAから草の根的に昆虫食の魅力を多くの人に伝えていきたいです。いずれは海外でも、その土地でしか届けられない食体験をつくっていきたいと思っています。

編集部のここが「#たしかに」

昆虫食を熱く語る篠原さんの現在の姿からは、過去に自分の好きなことを他人から否定され、落ち込んだ経験があったなんて想像できませんでした。

自分の「好き」なことを貫くことは簡単なことではありません。他人からの評価に惑わされたり、好きだからこそこだわりすぎて上手くいかないこともあったりと……。

だけど、好きを貫いている篠原さんの姿を見ていると、好きなことを継続するコツは「好きであり続ける自分を普通だと信じること」じゃないのかなと思いました。
他人から何を言われようと、自分の「好き」を貫いて、それが正しいと思い続けることが大切なんだと思います。

今後、昆虫食が篠原さんの手によってどんな風に変わっていくのか楽しみにしています〜!

取材・執筆:吉野舞

撮影:山口大輝

編集:#たしかに編集部

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