「自分の意見を持たないといけない」という風潮が分断を生む要因にも
他人や社会の声が大き過ぎて、「自分の声が聞こえなくなってしまう」ということも起きているような気がします。
ありますよね。外からの声が大きいと、自分の声がかき消されてしまう。それと同時に「自分の意見を持たないといけない」「自分も何か発信しないと!」という風潮が強まっている気がします。SNSでの分断は、それによって生じていると思うんですよね。
というと?
本当はまだ自分の意見を持っていなかったり、考えている途中だったり。YesでもNoでもなく、その中間が自分の考えだ。という場面ってたくさんあると思うんです。
でもSNSだと、曖昧な感情や考えは正確に伝わらずにYes・Noで言い切れるわかりやすい意見だけがどんどん拡散されていく。そうして分断が強化されていくと思うんです。
たしかに。SNSでは「問い」を投げたり意見交換をするというより、わかりやすい誰かの「答え」がいくつも飛び交っているイメージがあります。
多くの人が意見することで世の中を動かせるとわかっていても、じゃあ何が本当に良いことか、その先で何が起きるのか、慎重に考えたいことも当然ありますよね。だからといってアカウントを持っているのに発信せずにいると、「何も考えてないんじゃないか」「悪い状況に加担してしまっているのではないか」と後ろめたさや焦燥感を抱いてしまったりする。真面目で責任感の強い人ほど疲弊しますね。
ずっと人とつながっている生きづらさや、誹謗中傷などの分断がある中で、健やかにSNSと付き合っていくにはどんな心がけが必要だと感じますか?
そのアプリケーションが自分にとって、どういう位置付けなのか?一度立ち止まって考えてみるといいと思います。SNSとひとくくりに言っても、機能や情報の伝わり方、用途はさまざまですよね。例えば、家族と連絡を取るときはLINE。仕事の発信はfacebook。友達とのつながりはTwitterかInstagramなど。“なんとなく”自分なりに使い分けをしているはず。
なるほど。
その“なんとなく”を、見直してみるんです。そうすると使っていて感じていた違和感に気づけたり「世の中ではこう使われているけど、自分はこう使いたい」などのマイルールが見えてきたりする。そうやって自分の声に合わせてチューニングしていくと、しっくりくる位置が見つかりやすくなると思いますね。
世の中に流されるように使っている人も多い気がします。自分なりの目的やルールをつくるのは、自分を守るためにも必要ですね。
あとは、つながってあまりにもストレスになる人とはつながらない。シンプルですが、大事なことです。無理してつながり続けることは、お互いにとって健全ではないので。そこは線引きをしていいと思いますよ。。