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人は感情をコントロールできる?脳波研究者・満倉教授と考える、真のストレスフリー社会

気持ちを置き去りにする現代社会で、必要になるリテラシー

たしかに編集部現代はストレス社会といわれますが、感情の側面から見ると何が起こっているのでしょうか?

満倉さん気持ちが置き去りになっているのが、現代社会の特徴だと思っています。「やりたい」「やらなければならない」といった主体的な動機ではなく、何も考えない状態で次々と情報が入ってきたり、やることが決まっていくことって多いですよね。何気なくSNSに時間を費やすケースがわかりやすいですが、実際にそれを楽しめているかは、本人もわからないことが多い。本当の気持ちに対してフィードバックがなされなければ、人間が壊れていってしまう可能性もあります。

たしかに編集部そうした時代を生きる上で、何を心掛ければ良いのでしょうか?

満倉さん日々のちょっとした時間でもいいので、自分を振り返る習慣を身につけてください。まずは「何時くらいにお腹がすく」「何を食べたら調子が良くなる」といったカジュアルな感覚で、自分の感情にも向き合うことが大切だと思います。もし深刻そうであれば、専門医に相談することも必要です。忙しくて精神科に通えないことも、社会的な問題だと考えています。

たしかに編集部特にSNSをはじめとするインターネットの情報は、向き合い方が難しいと感じます。今後の社会に求められるのは、どのようなアプローチなのでしょうか。

満倉さんITをはじめとしたテクノロジーの発達に、教育が追いついていない状況なのではないでしょうか。最近は生成系AIの是非が問われていますが、使用者のリテラシーさえ身についていれば、大きな問題はないはずです。悪用されるケースも想定し、規制を取り込みながら、それらを個々が把握できる社会システムを構築する。そうした流れを生み出すフェーズにあるのではないでしょうか。

たしかに編集部ルールやリスクをしっかりと把握する上で、教育が大切ということですね。

満倉さん学校による義務教育も重要ですが、デジタルネイティブである若い世代においては大きな問題ではないのかもしれません。むしろ上の世代になるほど、インターネットに対するリテラシーが身についていないこともあります。SNSの誹謗中傷も、相手に与える影響を想像できないから起こることです。社会を生きる全ての人に対し、リカレント教育やメディアの発信、ルールづくりを適正化していき、先端テクノロジーとの向き合い方を皆で考えていく。そうした仕組みが、今後さらに求められていくのでしょう。

編集部のここが「#たしかに」

感情を可視化できれば、生活を取り巻くあらゆる要素が、どのように自分へ影響するのかを把握できる。そうした未来が訪れることで、私たちはより自由で健康なライフスタイルを獲得できるのかもしれません。

そこで重要になるのが、自分に立ち返る時間です。どんなにテクノロジーが発達しても、使い方によっては自分を壊してしまう。マイクロストレスをはじめとした無意識な要因は、日々漫然と生きていると、つい忘れてしまいがちになります。

同じことは、AI時代の社会全体にも当てはまるのではないでしょうか。年齢を重ねても学ぶ姿勢を忘れず、テクノロジーがもたらす負の側面にも配慮する。個人においても社会においても、気持ちを置き去りにせずに技術を活用することの重要性を、満倉先生は教えてくれたように思います。

取材・執筆:相澤優太 撮影:布川航太 編集:#たしかに編集部

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