登るだけじゃない山の楽しみ方

ーー新型コロナウイルスの影響はやはり大きかったですか……？

今までアメリカやイギリスのお客さんが多かったのですが、見事に海外のツアーが全キャンセルになってしまいました。

元の状態に戻るのもまだ少し時間がかかりそうなので、今は国内の方に来てもらうための発信やツアーの内容を考えています。自粛期間中、ガイドの間でも少しでも仕事につながればとオンラインツアーなども考えていましたが、いまいちピンとこなかったんです。やっぱり現地に来てほしいんですよね。まだまだ試行錯誤していますが、コロナ禍でも自然の中で楽しめることはたくさんあると思っています。

ーー最近は人混みを避けて山登りやキャンプなどアウトドアを楽しむ方も増えているそうです。おすすめの楽しみ方ってありますか？

そうですね、山は登るものだと思いがちですが、山や森に入るだけでもすごくリフレッシュできると思います。五感をフルに使いながら、ゆっくり歩くのはおすすめですね。

信濃町は2003年くらいからまちぐるみで「森林セラピー」を推進していて、「森林メディカルトレーナー」という町認定の森のガイドがたくさんいるんです。実際に都会の企業と提携していて、研修などで信濃町に滞在してもらい、森のなかでしばらく過ごすことで、ストレス軽減にも効果が出ているんですよ。

ーーお話を聞いていると、信濃町に行きたくなってきました。ちなみに信濃町で西田さんのお気に入りを3つを挙げるとしたら？

まずは春の山菜採りですね。僕はスノボが好きなので、以前は一年中冬でもいいなと思っていたのですが（笑）、こっちに来て山菜採りの楽しさを知ってから春が来るのが楽しみになったんですよ。コシアブラやたらの芽に山うど、それに根曲り竹と鯖缶のたけのこ汁もとても美味しいんですよ。

▲西田さんも大好物の根曲り竹

そして、僕のお気に入りの場所でもある黒姫山ですね。全国的にはそれほど有名ではありませんが、標高が2000mくらいの山で、標高が変わるごとにブナの森からダケカンバ、オオシラビソへと木々が変化していき、素晴らしい森が広がっています。また、火口には美しい湿原があったり、とても植生が豊かなんです。僕が登山した時の様子をSNSで発信したら、地元の人からも「黒姫山って、こんないいところがあるんだ」と驚かれるほどで、まさに知られざる信濃町の穴場です。

▲西田さんいわく、「登るたびに発見がある山」だそう

そして信濃町の大きな魅力が「人との距離の近さ」です。都会に住んでると近所づきあいってほとんどないじゃないですか。信濃町は移住者も多いので、地元の人も外から来た人に壁を作らないんです。おせっかいなくらい親切で、人のあたたかさを感じることが多いですね。