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醤油の新しい可能性を蔵元と一緒に見つける高橋さんの「同じ方向を見る」考え方

まったく売れなかった、100mlの醤油

――100mlの醤油はどういったことから生まれたんですか?

醤油屋さんを回って、醤油のことはある程度わかったと思いました。そこで今度は売っている現場を見るために百貨店に行ったんです。すると壁一面にずらっと醤油が並んでいて、どの商品を買うべきか全くわからなかった。

色々な醤油を試しに買って使えればいいんですけど、1リットルの醤油を2、3本買うのは現実的じゃない。そこで小さくして売ればいいのではと考えました。

――その話を醤油屋さんに持ち込むんですか?

そうです。2軒目に訪問した近藤醸造の近藤さんがすごくいい人で、小さなビンに詰めたいと相談して、ビンの問屋を紹介してもらったりしました。最初から100mlだったわけではなくて、数種類のサンプルを用意して色々な醤油屋さんを回ってどのサイズがいいのか話を聞いたりしましたね。協力してくれた醤油屋さんと、最初はネット販売で8銘柄から始めました。

――売れ行きはどんなものだったんですか?

当初はまったく売れなかったです(笑)。ECモールに出店しているわけでもなく、誰も見に来ない手作りのWEBサイトに8個の醤油が並んでいるわけですから。でも、50銘柄くらいが並んだら、少しは目を引く見栄えになるかもしれないと思ったんですよね。ですから、売れなくてもいいという前提で、他の地域の醤油屋さんを回り始めたんです。

――やっぱり、すんなりいかないものですか?

それが意外にすんなりいくんですよ。100mlのビンは1箱70本で2箱セットなんですが、全部で14リットル。醤油屋さんからすると詰める手間はかかるものの、大きなリスクがないんです。それで50銘柄くらいまで揃えました。退職してから2、3年だと思います。ちょうどそのくらいの時期に、WEBやテレビに取り上げていただける機会があって、徐々に売り上げも伸びてきました。

ただ、なんとなく売れ始めただけで、手応えみたいなものはまだなかったですね。それでも、楽しかったんです。色々な人とコミュニケーションを取っていくなかで、関係性ができてくるということがすごく面白かった。

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