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SNSで生きづらさ感じる時代、人間関係を豊かにするのはAIにはない「人の意外な素顔」

AIにも生み出せない、人間だけが持つ面白さに気づく

たしかに編集部アプリの使い方だけではなく、SNSを通じた人間関係そのものに負担を感じることもあるなと感じます。

紫原さん人とのつながりが鬱陶しくなったり、その場にいて「ここから何も生まれないな」と思ったり、ということですよね。

たしかに編集部はい。

紫原さんそう思う要因は何だと思いますか?

たしかに編集部な、なんでしょう?

紫原さん端的に、その人との会話が面白くないからだと思うんです。もう少し詳しく話すと、私自身『もぐら会』というコミュニティを主宰していて。毎月1回集まって、5人〜20人くらいの話しをただ聞く、自分の番がきたらそのとき話したいことを、ただ話すというお話会を行っているんです。上手に話そうとする必要はない。オチをつけようとしたり、綺麗にまとまってなくてもいい。そんな会を開いているんです。

たしかに編集部SNSにはない「場」ですね。

紫原さんそうなんです。面白い話をしなくていい、という場だからこそ、蓋を開けてみたら「この人、こういう人だったのか!」って驚くような人がいっぱいいることに気づく。例えば、一見いたって普通の穏やかな、どちらかといえばモテそうな男の子が、実は子供時代に大変な機能不全家庭に育っていて、成人してマッチングアプリで知り合った女性との最初の食事で何気なくだし巻き卵を取り分けてもらったとき、「生まれて初めて人間扱いされた」と感じた話とか。

たしかに編集部ええ!

紫原さん何気なくだし巻き卵を取り分けた女性も、まさかその行為が相手にとってそこまで重要な意味を持っているなんて、想像もしていなかったと思います。

たしかに編集部その話をされなければわからなかった、意外な一面ですね。

紫原さんノリや空気から外れて、時間をかけて人の話を聞くから知り得ることってあって。人が「この人をもっと知りたい」「この人とつながりたい!」と思うポイントって、実はそういうやって垣間見える意外な素顔だと思うんですよ。

たしかに編集部たしかに。急に興味や親近感が湧いたり、もっと話を聞きたくなったりしますね。

紫原さんそこに私はAIにも生み出せない、人間だけが持つ面白さがあるなと感じていて。
SNSで流れてくる、映えを意識したタイムラインは、結局のところ毎日代わり映えしないし、街を歩けば、日本中どこにでもあるチェーン店、大型ショッピングセンターばかりだし、ネットショッピングではだいたいの物が手に入るし、要は、私たちの周りには知っているものばかりなんです。

紫原さんそうした中でせっかく個である人間と会っているのに、空気やノリを意識して大きくはずれない話題ばかり選ぼうとすれば、そんな会話は誰しも「つまらないな」と感じますよ。

たしかに編集部特に就職、結婚、出産、転職など、ライフイベントの多い若い世代は、せっかく会ってもカフェで近況報告だけで終わってしまう。特にそこから何も深まらず、また次回会うときも同じような会話が繰り返される……。なんてこともありがちですね。

紫原さんさらに言うと、今はハラスメントの問題もあってなかなかパーソナルな部分に踏み込んだ会話もしづらいですよね。恋のことを聞くにも、家族の話をするにも、気を遣う。

たしかに編集部相手に失礼なことを言いたくない、傷つけたくない。と思うあまり、友達同士でも気を遣って聞きにくかったりします。

紫原さん配慮は当然必要だと思います。でも同時に、その人らしさが隠れているエピソードって、きっとその人が抱えている大きな傷の隣にあるんです。だから「本当にこの人とつながれて良かった」と思う瞬間にたどり着くには、踏み荒らさないように慎重になりながらも、近づいて行くしかないと思うんです。

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