佐賀と長崎、そこに住む人たちの味わい深いストーリー
タイトルの「SとN」は、佐賀(Saga)と長崎(Nagasaki)の頭文字。磁石のS極とN極のように、多くの人を引き寄せたいという願いもこめられています。
佐賀と長崎、隣り合わせの2つの県の観光雑誌。よく目にするこうした雑誌・ガイドブックはエリアごとに目次が分かれていますが、SとNは佐賀と長崎のお店や施設を自由に織り交ぜた構成が斬新です。
県境を意識することなく、観光のみにとどまらない広い視点で人々の暮らしを掘り下げる、というコンセプトを持つSとN。内容も観光名所をただ紹介するのではなく、お店や商品を「作っている人」にスポットが当たっています。文章もその人の口調をそのまま使っているので、紹介される方のお人柄や暮らしが伝わり、実際にお店に行った時には初めて入店とは思えない親しみを感じそうです。
▲1号は両県にまたがる松浦鉄道を、2号では有明海…と、両県に繋がりのあるキーワードが毎号のテーマになっているのも『SとN』のユニークなところ。
――お店や場所というよりもその商品や場所を作り上げる人の魅力が伝わってきます。取材をする上で大切にしていることを教えてください。
上杉さん:制作チームは、東京や福岡など佐賀・長崎以外に暮らしている方がほとんど。両県を下見や取材で回る時の気持ちは、旅をする人のそれに近いのです。彼らの心に残った風景や、地元の人の言葉やエピソードを中心に構成している理由がそこにあります。
制作陣も県の担当職員も日々を生きていますから、誰かに会い、話を聞くと、それぞれ感じるものがあります。環境や価値観は違っていても、その「心に残ったもの」にはどこか共通しているのではないかと思います。特別な表現をしているつもりはありません。
もちろん、旅行者が行くと楽しんでもらえそうなポイントは意識しています。
▲トレイにしきつめられたコロッケと、それを売るお店の方。きっと地元に愛されるお惣菜屋さんなんだろうと、想像するのも楽しいです。