「本を選ぶこと」を楽しんで欲しい
ーー「AKUSHU BOOK&BASE」(以下、「AKUSHU」)には漫画や雑誌がないと聞いたのですが、本当ですか?
大連:そうです。基本お店に置いているのは「誰かがおすすめする本」もしくは「誰かにおすすめしたい本」だけです。普通、本屋さんには「新刊コーナー」とかあると思うんですが、「AKUSHU」には新刊コーナーもありません(笑)。
西村:それぞれの棚や売り場は「動詞」によってコーナーが分かれていて、関連する本がセレクトされているんです。今月だと「遊ぶ」とか「ゆるす」とか「目覚める」とか。月ごとに動詞は変わるので、常に本が入れ替わっています。
ーー共通した「動詞」の棚に、文芸書も実用書も小説も一緒に並んでるのが面白いですね。
石田:ありがとうございます。しかも、本の多くには書評がつけられていて「おすすめする理由」が書かれているんです。書評は「AKUSHU」のスタッフや私たちの友人など、関係性のある方に書いてもらっています。
▲書評にはおすすめポイントが
ーー書評があると選びやすいですね。しかも 一般的な書店って、本が隙間なく並んでいるところが多いですが、「AKUSHU」は開放感があって、お店も広々しているから本自体も見やすいです。
▲福井市内のショッピングモール「エルパ」の一角にある店舗。スタイリッシュな店構えが目を引く
大連:坪単価の売上を考えると、このスペースの使い方はありえないって言われるんですけどね(笑)。でも、本を読まない人にとっては本屋さんに入ることもハードルが高いと思うんです。ひらけていることで入りやすい雰囲気を出したかったし、「動詞」で分けてあらかじめ置く本を絞っているからこそ選びやすいかなと思っています。
西村:通常、本屋さんの棚では本の背表紙が並んでいる状態だと思うんですが、「AKUSHU」だと本の装丁を見てもらえるように置いているので、パッと目に入るんです。時々「本屋さんなのにどうしてあの本を置いてないの?」と言われることもあるんですが、「特に読みたい本があったわけではなかったけど、いい本と出会えた」とか「久々に本を買った」と言ってもらえることの方が圧倒的に多いですね。
石田:在庫を多く抱えていないので、オープン当初は少し不安でしたが、セレクトを褒めてくださることで自信につながっています。書評を読んだお客さんが「私もこの本が好きなんです」と言ってくださり話が盛り上がることも多いですね。前の書店より圧倒的にお客さんと関わる機会が増えました。
▲トートバッグや巾着、ノートなどオリジナルグッズも人気