スパイスカレーが家庭に広まりやすいと思った理由

ーー調理お疲れさまでした！少しお話を聞かせてください。 そもそも、カリー子さんがスパイスに着目した理由はなんだったのでしょうか？

実はもともと、スパイスの香りが苦手な方だったんです。そんな中、カレー好きの3つ上の姉に、ある日インドカレーを作ってあげることになって。せっかくだったらと意気込んで、数種類のスパイスでカレーを作ってみたら「おいしい！」と、気づくとどんどんハマっていきました。それから5年半、毎日カレーを作り続けています。

ーーお姉さんのリクエストからスパイスでカレーを作り始めたんですね！どうやってスパイスを勉強していったのでしょうか？

まずインド料理関連の本を片っ端から全部読んでいって、色々なレシピを見て一番出てくるスパイスを買いました。例えば、チキンカレーを作るとしたら、ターメリック、クミン、コリアンダーっていろんなチキンカレーに共通するスパイスなんです。

でも、レシピによってはカルダモンやマスタードシードといった、違うスパイスも出てきます。その違いの中で、「絶対的に必要なスパイスは何？」と考えながら選びましたね。ターメリック、クミン、コリアンダーはスパイスの基本の「き」なので、同じ分量を調合するだけでカレーが作れるんですよ。

ーーカリー子さんが販売している「タクコスパイス」もこの3種類がセットですよね。始めて見た時「これだけで美味しいカレーが作れるんだ！」と、驚きました。

スパイスカレーの魅力はまず作る工程がシンプルなこと。フライパンひとつあれば火で炒めると出来ますし、アレンジ性も豊かです。

例えば、今日作ったチキンカレーの鶏肉を魚に変えることで、魚のカレーができますよね。これは味噌汁と同じで、味噌汁も味噌とダシを全く同じものを使っていても、具をワカメかなめこにするかだけで全然違います。そんな風に素材を変えるだけで違うカレーが出来るんです。

ーーなるほど。

鶏肉、トマトなど、スパイス以外の食材はどこのスーパーでも手に入りますし、値段も安価です。「簡単、アレンジ性が豊か、安い」、そんなメリットがスパイスカレーにはあって、日本の家庭に広まりやすいと思いました。

ーーだからマニア向けではなく、主婦の方向けにレシピを作ろうと思ったのですか？

はい。カレーは身体にいいし、お子さんからお年寄りまで好きなカレーを簡単に作ることが出来る。それって毎日料理を作っていらっしゃる方にとってはすごく嬉しいことですよね。それなのに広まらないのは、わかりやすくて簡単なレシピが日本にないからだと思いました。

それを噛み砕いて、スパイスカレーが難しいと思っている日本人に届けたかったんです。そこで、まず「作りたい」と思った人が諦めずにスタートする環境を作ることが大事だと思い、レシピを作っていきました。

ーースパイスからカレーを作ることは難しいという印象がある中、いざ作ってみるとハマって行く人が多い気がします。

カレーは簡単な料理ですけど、最初は本を読んだりして真似て作る必要があります。でも、やっぱり「百聞は一見に如かず」で、作り方を読んだら一度作ってみてほしいです。料理って人間の知的好奇心をくすぐるものなので。

始めて作る時は、「タクコ」使ってもらったりして、まだ作ったことがないひとが初めて作るという「0→1」の地点を重点的にサポートできたらと思います。でも、最初の一回目を作るとハマる人が多くて、1から2の手順の時はサポートなしでも、みんな勝手にやっていくんですよね（笑）