自分で遊びをつくる過程が、アートとの出会いそのものだった
まず最初に、末永さんと「アートとの出会い」について、お聞かせください。
育った環境が、アートとの出会いそのものだったのかなと思っています。父はフリーランスのイラストレーターで、とても自由に自己表現をする人でした。イラストだけでなく画家として絵画を描いたり、パントマイムでパフォーマンスをしたり、サックスを嗜んだり。創作する、表現することが身近にある家庭でした。
素敵なお父様ですね!
そんな家庭に育てられたからか、遊びも自分でつくることが当たり前で。例えば、公園に落ちている葉や枝を集めておままごとをしたり。新聞紙を丸めてボーリングのようなゲームをつくったり。もちろん、クレヨンと紙で絵を描くのも好きでした。そこにあるものを使って、どんなものがつくれるかな?表現できるかな?と想像を膨らませて形にしていたんです。そうやって遊びをつくる過程そのものが、私にとってのアートとの出会いでしたね。
知らず知らずのうちに、遊びの中でアートの感性が培われていたのですね。
そうですね。幼い頃に「自分で考える力」を養わせてもらってよかったなと感じます。テレビやゲームは与える情報量が多すぎて、子どもが想像を膨らませる余白は残っていないんですよね。そうなると遊び方は、与えられた一つの選択肢しかなくなってしまう。でも限りあるものの中で自分なりに考えてみると、「あんなこともできる!こんなこともできる!」と、遊びは無限に広がっていきます。
多くの人に『アート思考』を届ける末永さんの価値観の土台には、「自分なりのものの見方で遊びをつくる」幼い頃の経験があったのですね。