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逃げることも「大好きなもの」を見つけるための道のり“その先”を楽しみに、次の扉を開けるクッキーアーティスト・KUNIKAさんの生き方

流れに身を任せて、人生の岐路を受け入れる勇気

たしかに編集部その後もサンリオ・ドラえもんなどを始めとした有名キャラクターとのコラボレーションや、SNSのフォロワー10万人超えなど、日本での反響はとても大きくなっていったのではないでしょうか。

KUNIKAさんありがたいことに次々に新しいオファーをいただいて、刺激的で目まぐるしい日々を送っていました。『KUNIKA』という名前を知ってくださる方も増えて、期待に応える喜びを噛み締めながらお仕事をさせてもらっていました。

KUNIKAさん一方で、徐々に疲弊していく自分がいることも否めませんでした。フリーランスゆえ「一度断ったら、次はないかも」という恐怖心から仕事を詰め込んでしまったり、求められる作品と自分が表現したい内容にギャップが生まれ始めたり。どうも歯車が噛み合わない……。そんな感覚が日に日に大きくなっていきました。

たしかに編集部もどかしい時期ですね。

KUNIKAさん正直、自分の中で「やり切った」という気持ちも芽生えていたんだと思います。今、自分が持っているものは、すべて出し切った。もう一度、新しい環境でインスピレーションを得る必要があるんじゃないかと。

たしかに編集部なるほど。

KUNIKAさん“ここではない、どこかへ行きたい”。風船のように膨らんだ気持ちはついに自分を遠くに運ぶ種となります。ロンドン行きの片道切符を握りしめ、海を渡ることを決断しました。

たしかに編集部なぜ、海外だったのでしょう?

KUNIKAさん誰も私のことを知らない世界で『クッキーアーティスト・KUNIKA』の肩書を外してゼロから挑戦したい。そしてロンドンなら、デザインや文化の側面でインスピレーションを受けられそうと思ったからです。

たしかに編集部順風満帆なキャリアを手放しての渡英、思い切った決断だったと思います。怖さや不安はなかったのでしょうか。

KUNIKAさん怖かったです。不安しかありませんでした。「創作活動を続けていくならば環境を変えないと……」そう思いながらもなかなか踏ん切りがつかなくて。仕事、家族、友人、慣れ親しんだ暮らしを手放して、異国の地へひとりで踏み出す。英語も話せない、知り合いもいない。その恐怖で足がすくみました。

たしかに編集部軽やかに楽しそうに次々と駆け上っていくKUNIKAさんも、渡英に踏み出す瞬間は怖さと闘っていたのですね。最後はどのように決断したのでしょうか。

KUNIKAさん賭けてみることにしたんです。イギリスのワーキングホリデーは定員が決まっていて抽選でした。つまり、落ちたら行けないということ。ここで落ちたら日本でまだもう少しがんばろう。もし受かったら、きっと「新しい環境へ飛び込め!」というメッセージなんだと。

たしかに編集部そして、抽選に受かったと……!

KUNIKAさんはい。知らせを見た途端、不思議と自分の運命をストンと受け入れられました。「そういうタイミングなんだな」と思えたというか。「またここから始めるんだ」という気持ちで、これまでの作品もすべて処分しました。何も持たず、何の予定も立てず、渡英することにしたんです。

たしかに編集部その先にどんな景色が待っているのか、KUNIKAさんはそこに賭けてみたんですね。

KUNIKAさん自分だけでは踏ん切りがつかなかったけれど、これはもう流れに身を任せようと手放すことができました。

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