「心・体・性のウェルネスウエルネス」をテーマに、各媒体の知見を結集
「yoi」の誕生経緯について教えてください。
集英社では、『Seventeen』『BAILA』『éclat』など、ティーンから50代以上まで、幅広い世代に向けて女性誌を発刊してきました。各媒体では生理や女性の体の問題についても取り上げてきましたが、それを一つのメディアで発信しようと、約2年前にローンチしたウェブメディアが「yoi」です。今年6月にリニューアルし、新しい価値観を持つ20代後半から30歳前後の女性をコアターゲットにオリジナル記事を公開しています。
「yoi」という名前には、どのような思いが込められているのでしょうか?
「あなた(You)」と「私(I)」が、「私たち(Our)」になってつながる。それが「yoi」の理念です。つまり、自分と他者の心・体・性を大切にし、趣味嗜好や社会的属性に関わらず、誰もが互いに認め合う社会をつくるということです。そのためには多様な視点が必要ですが、「集英社yoiエディターズ」と呼ばれるスタッフが、各女性誌だけでなく、漫画誌や文芸誌にもおり、さまざまな立場の編集者から毎月企画を出してもらうことで、幅広い視野での情報発信に努めています。
社内の横断的な連携によって、多様な価値観に寄り添ったメディアづくりができているんですね。具体的にはどういった記事を発信しているのですか?
メンタルヘルスや女性の健康、SDGs、ジェンダーに関することやインタビュー記事も多いです。また、ファッションや美容に興味のある読者の方々も多いですね。ただ、「yoi」ではファッションならトレンドを追うのではなく、機能性や着心地に注目したアイテムを紹介したり、美容に関しては、企画するときに心と肌のつながりを大前提にします。「yoi」だからこそできる、「ファッションウェルネス」「ビューティウェルネス」という視点です。あと、最近盛り上がっているのは「フェムテック」の分野ですね。
「フェムテック」は最近よく聞くワードですね。
女性特有の健康課題を、テクノロジーで解決しようとする製品やサービスの総称ですね。例えば生理用品や、デリケートゾーンのケア製品などがあてはまります。もっと広く言うと、妊娠出産に関することもそうですし、PMS(月経前症候群)という言葉は最近だいぶ浸透したかと思いますが、PMS緩和目的の医薬品なども該当します。
心身や性の悩みを解消する手助けになってくれそうですね。誰もが認め合う社会の実現に向けては、どういったアプローチをなさっているのでしょうか?
自分と他者、お互いの心・体・性を大切にするという観点においては、メンタルケアの特集やLGBTQの方々へのインタビューなどを発信しています。本当に今、心の問題やジェンダーのカテゴリは細分化していて、ひとことで簡単に語ることはできません。ちょっとした言い方の違いで、傷ついてしまう方がいるかもしれない。一字一句を大切に、丁寧に作る姿勢を忘れないようにしています。