“知る”が、認め合う社会への第一歩
これまでの記事で、反響が大きかった企画を教えてください。
フェムテック、フェムケア好きの編集者、ライターなど30人が集まって、「フェムテックアワード」を実施しました。雑誌でよく見る「ベストコスメ」のようなイメージです。フェムテックにもさまざまなジャンルがあるため、その中から「yoi」のターゲットとなる世代に向け、いくつかの部門に分けてアイテムを紹介・レビューしました。「生理用品なんてどれも同じ」と考えていた方が、一つ一つの製品で機能性が全く違うことに気づいてくださるきっかけにもなったと思います。
ジャンルもそうですが、「重い生理痛・PMSに悩む7人が選んだアイテム31選!」など、さまざまな視点からアイテムを紹介されてますよね。
例えば生理だけでも、重い・軽いや経血量の多さ、肌のかぶれやすさなど、いろいろな悩みがあります。PMSの症状も人それぞれです。似た悩みを持つ人が紹介したアイテムを知り、「こんないい製品があったんだ」と感じてくれたら嬉しいですね。
記事を読んでみると、男性読者も気づきにつながる内容だと思いました。
そうですね、生理の辛さや女性の体の問題に、多くの男性が理解を深めてほしいと考えています。逆に、女性にも男性のことを知ってほしいです。フェムテックに対して、「メンテック」というワードがあるのをご存じでしょうか。例えば男性不妊など、いわゆる男性特有の健康課題を解決する製品ですね。
そうした領域もあるのですね。互いが認め合うという意味でとても良い考え方ですね。
以前「yoi」で、フェムテック製品を扱う会社とメンテック製品のメーカー会社の対談企画を行ったことがありました。そこに私自身も同席させてもらったのですが、とても勉強になることが多く、「私は本当に何も知らなかったな」と驚かされました。知識が足りないということは、相互理解の妨げになりますし、さらには“分断”の原因にもなってしまう。その意味でも、多角的な情報の収集、発信を大切にしたいです。
知識不足が分断につながるのは、生物学的な性差だけでなく、ジェンダーや世代間での問題にも共通しているのかもしれません。
今の若い世代の方たちは、10代の頃からSNSでたくさんの情報を得ています。身近な友人や教師、親だけでなく、いろんな人々の価値観に触れている。だから共感能力が高いと思うんですよね。私も、若い方向けの媒体を担当していなかったら、「最近の若い子はわからない」と、理解への一歩を踏み出せなかったのかもしれません。