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先生はブラック?それだけじゃない。絵本『せんせいって』に込めた、それでもやっぱり先生の仕事が好きな理由

改めて発信したい、先生という職業の魅力。先生に憧れた人が、一人でも多く活躍するために

たしかに編集部そもそも、松下先生はなぜ小学校の先生になろうと思ったのですか?

松下さん私の母が特別支援学校の教員をしていて、その姿に憧れたのがきっかけです。毎年、卒業した児童たちからも年賀状が母宛に届くんです。分厚い束を見て、「先生ってそんなに人の心に残る仕事なのか」と思いました。

松下さんあとは、高校生のときに『みにくいアヒルの子』という小学校を舞台にしたドラマを見て、主人公のガースケ先生に憧れたこともきっかけの1つです。

たしかに編集部ドラマが背中を押してくれたんですね。松下先生が教師の仕事にやりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?

松下さん子どもたちの成長を間近で見守れる喜びは何物にも代えがたいですね。入学したときは小さかった子が6年生になると私の身長を追い越していくんですよ。その過程で見せるさまざまな表情や成長の瞬間に立ち会えるのは、教師ならではの醍醐味です。

松下さん子どもたちと接していると毎日、喜怒哀楽さまざまな感情に振り回されます。でも、そういう日々の積み重ねの中で「先生をやってて良かった」と思いますね。

たしかに編集部逆に、子どもたちから学ぶことも多そうですね。

松下さん子どもって大人の予想を超える反応を見せてくれるんですよね。私は学生時代から演劇をしているのですが、演劇は台本通りに進むのに対して、授業は思い通りには進みません。いつも予想を超えた反応が返ってきて驚かされます。もちろん事前準備はしっかりしますが、毎日がアドリブで即興劇をするような楽しさがありますね。

たしかに編集部お話を聞いていると、本当に先生の仕事が好きなんだというのが伝わってきますね。

松下さんやっぱり、大変なことよりも、先生の仕事の楽しいところのほうが思いつくんですよね。多くの方に魅力を知ってもらいたいです。

たしかに編集部教員を取り巻く環境や教育現場を良くするために、松下先生は何が必要だと感じますか?

松下さん先生はみんな、「子どもたちファースト」で行動する人が多い。だからこそ、業務量が増えてしまうんですよね。大事なのは、先生たちが心身健康な状態でゆとりを持って働ける環境をつくることが大事だと思います。

たしかに編集部まずは、しっかりと休憩時間を確保できるように、制度を整えるということですね。

松下さんはい。そうすることで、子どもたちにも良い影響を与えられるはずですし、教員が犠牲にならない形で「子どもたちファースト」を実現できると思います。

たしかに編集部先生ご自身はこれからどんな挑戦を?

松下さん実は最近、また演劇を始めたんです。先生だって、先生以外の時間を楽しんでいるということをもっと伝えられたらな、と。また、演劇的な手法を授業に取り入れることで、より面白い授業ができるのではと考えており、今後研究していきたいと思います。

たしかに編集部それは面白そうな試みですね。最後に、教師を目指す人にメッセージをお願いします。

松下さん教師という仕事はメディアで言われているほど暗いことばかりではありません。むしろ楽しいことのほうが多いです。

松下さん大事なのは、職場の先生たちと支え合える関係性を築くことです。もし児童や保護者との関わりでつらいことがあっても、絶対に無理はせず、時には休む勇気も必要です。

松下さん先生の多くは、子どもが好きな方だと思います。先生という仕事に憧れた人が、1人でも多く活躍できる社会になってほしいと思います。それが結果的に、子どもたちのためにもなると信じています。

編集部のここが「#たしかに」

ニュースやSNSで伝えられる教員の厳しい現状。実際、松下先生の話からはたしかにそういう一面があるということが伝わってきます。しかし、取材中に話題が「先生という仕事のやりがい、楽しさ」に及ぶと、松下先生はびっしりと書いたメモからエピソードを選りすぐり、笑顔をこぼしながら話してくれました。

きっと、世の中の多くの先生が、松下先生と同じような気持ちで理想と現実の間で葛藤しながら、日々子どもたちと向き合っているのでしょう。

絵本『せんせいって』をきっかけに先生を取り巻く環境が改善され、「将来は先生になりたい」という子が増えていってほしいと思いました。

取材・執筆:村上佳代 撮影:桂伸也 編集:#たしかに編集部

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