化粧品会社で「好きを仕事に」してみて気がついたこと
ーー化粧品会社で働くことは、美容好きにとって憧れの職業だと思います。ふねさんが、前職の化粧品会社に就職された理由を教えてください。
化粧品がもともと好きだったことが一番の理由です。あとは、自分が長く使っているブランドを持つ会社だったので、愛用者なりの「もっとこうだったらな」な部分を改良できたら、と思って入りました。
ーー化粧品会社にいた頃は、まさに「好きを仕事に」なさっていたと思います。日々働く中で、なにか気づいたことはありましたか?
どんなものでも当てはまると思いますが、商品を作る側の楽しみと使う側の楽しみは全然違うんですよね。文字通り「商品」として作る以上、成分やコストにこだわらないといけない。ですが、私はそういったことにはそこまで興味がなかったみたいです。開発に関われば関わるほど、化粧品への純粋なときめきが失われていく感じがしました。
入社したからわかったことがたくさんあるので、働いてよかったと思っています。しかし、作る側になったことで、私は化粧品を「気楽に消費する」ほうが好きだったんだと気づいて、転職を考えるようになりました。
ーー働くうちに、化粧品のなにが好きなのかが明確になっていったんですね。
はい。美容が好きな方のなかでも、成分を探究して理想の肌へアプローチするのが好きな人もいれば、好みの香りやテクスチャで気分良く使うのが好きな人もいますよね。作るほうか、使うほうか、どんな風に使うのか……。“好きの種類”はたくさんあるんだなって。
例えば、ラーメンを食べるのが好きな人がラーメン屋さんになっても楽しめるかって考えたら、その違いは想像できますよね。私は、就活のときに「化粧品」っていう名目だけをみてしまっていて、「自分は化粧品のなにが好きなのか」が曖昧だったんだと思います。