毎日に余白を
届ける

価値観発見
メディア

醤油の新しい可能性を蔵元と一緒に見つける高橋さんの「同じ方向を見る」考え方

新しい醤油の価値を創っていく

――ここに伺うまでは、醤油がこんなに多様なものだとは思ってもみませんでした

大手さんがつくっている醤油は日本人の味覚の平均値。そして、料理の平均値なんです。
刺身にかけても、肉にかけても美味しい。何にかけて、誰が食べても美味しい。

そうではなくて、決して万能じゃないけど、特徴のあるとんがった醤油。それが地方の醤油屋さん。最近はその多様性を面白がってくれる人が出てきています。クラフトビールや日本酒と同じ流れです。そういった醤油の幅広さや多様性を広めていくというのが、今やるべきことだと考えています。

――クラフトビールならすぐに飲んでもらえますが、醤油だと難しいですよね

ですから、一般のお客さんに対して、醤油を食べるもので使い分けるとより美味しいし、楽しいよ、という感覚をスタンダードにするような取り組みがしたいなと思っています。それは私たちだけではなくて、大手も地方の醤油屋さんも、みんなでやらないとできないことなんです。

――具体的に取り組んでいることはありますか?

取り組みのひとつとして、飲食店向けに醤油皿をつくっています。食の新しいブームを発信するなら、やっぱり飲食店から。だから、まずは飲食店の料理を変えていくことが必要だと思っています。わかりやすいのは、お刺身ですよね。お刺身を食べるときに醤油が出てきて、この魚にはこれで食べ比べたら全くおいしさが変わりますよ、みたいなことをきっかけにしたいなと。

――醤油の多様性が広まった先にはどんな世界があるんでしょう

おそらく家庭で料理をする人はどんどん減っていくと思うんです。反面、料理を休日の楽しみとしてやったり、人とコミュニケーションするツールとして使ったりする人が、こだわったものをつくることは変わらないと思っています。

醤油を使ってご飯を食べわけるのが楽しくなるとか、友達と醤油のことで話が盛り上がるとか、つくっている蔵元に訪ねて行くのがすごく充実した休日になったりする。そうなっていく動きを、醤油業界のみんなでしていかなきゃいけない。うちだけではなく、醤油屋さん、そしてお客さん。それぞれが良くなる、近江商人の三方良しみたいな環境をつくっていくことが大切だと思って、今は仕事を楽しんでいますね。

高橋万太郎さん

編集部のここが「#たしかに」

大手企業を退職して起業した高橋さんのお話は、醤油という商材に目をつけた華やかな成功物語ではなく、自分にできることを見つけて地道にコツコツと進んでいくようなものでした。ただ、独立したばかりの苦しい時期のことも、醤油業界の未来のことも、一貫して「面白い」「楽しい」と笑顔で言っておられたことが印象的でした。高橋さんと話していると、人生において仕事を楽しめるかどうかは、やっぱり大切だと改めて気づかされます。

そして、高橋さんから醤油の奥深さや可能性の一端を聞き、単純に驚きました。高橋さん、色々なお話をありがとうございました。それにしても、なじみ深い醤油のことを、こんなにも知らなかったなんて。

職人醤油のHP:https://www.s-shoyu.com/
職人醤油のTwitter:https://twitter.com/s_shoyu
高橋万太郎さんのTwitter:https://twitter.com/mantaro_t

取材・執筆:北野元明 編集:#たしかに編集部

記事を読んで「たしかに!」っと思った方は
ぜひ下記ボタンをタップしてください

follow us
Twitter
Facebook
Instagram