今生きていることを300年後に残したい。小杉湯で働くとみたみずきさんが初めてのZINEづくりから学んだこと

285 票, 平均: 1.00 / 1 285たしかに

2021.05.21.Fri.
#たしかに編集部

印刷の瞬間を自分の目で見るために、長野へ

ーー初めてのZINE制作でいろんなことがあったことがあったと思いますが、何か印象的だったエピソードがあればおしえてください。

一番はやっぱり、藤原印刷さんで印刷できたことですね。長野県松本市にある有名な印刷会社で、わたしが憧れている方も大切な自分の本をここで印刷していたので「すごい印刷会社」という認識でした。

だから、ほぼ完成に近づいたZINEの内容を見せた佑介さんに「藤原印刷で刷ろうよ」って言われた時は驚きましたね。でも、やれるならやりたいと思って。

ーー印刷に対して、何か特別な思いがあったんですか?

初めてものづくりをしてみて、これだけ頑張って思いを込めて作ったのに、自分の内側が手で触れるものにうつる最後の瞬間は見れずに完成したものが家に届く、というのが何だか寂しいなと思ったんです。自分で見たものじゃないと信じられない、信じたくないみたいな気持ちがあるから、誰がどんな風に作るのか、自分の目で見たい。

藤原印刷でお願いすると、印刷の立ち合いができるっていうのを知っていたので、その瞬間を見れるかもしれないと思ったんです。

それからすぐに佑介さんがもともと繋がりのあった隆充さん(「藤原印刷」取締役・藤原隆充さん)と繋いで下さって、経緯や思いを伝えたら、すぐに「いいね作ろう!」って言ってくれました。その瞬間は「うわーーー!」って思いましたね(笑)。

ーーすごいスピード感……! こだわりの印刷で有名な藤原印刷さん。決して印刷代も安くはなかったと思いますが。

そうですね。生活費もあるし、アルバイト代だけでは難しいなと。周りの方に相談したのですが、それがわたしの誕生日の数日前だったんですよね。そこで「年に一度の誕生日のお願いとしてみんなから印刷代を集めてみる」という案が出て、「いいかも!」って。

そうすることに決めて、すぐに小杉湯となりにZINEの冒頭部分のページと「みずきのおねがいばこ」を設置しました。すると会員さんも小杉湯のバイト仲間もお金を入れてくれて、1000円が積み重なっているのを見て感動しましたね。箱の中に人の想いをめちゃくちゃ感じて、これは作り切らなきゃって。皆さんのおかげで無事、印刷することできました。

みずきのおねがい箱

ーー印刷の過程にもいろんな人の想いが詰まっているんですね。ZINEの印刷部数にも意図があるのだとか。

そうなんです。今回「68部」刷りました。これは、わたしが住んでいる家の緯度と経度を出して、その数字を全部足した数です。緯度と経度は、300年後も変わっていないんじゃないかなと思って。

ーーたしかに……! 実際に印刷の立ち会いのために、松本市まで行った時はどうでしたか?

すごかったです(笑)。当日は隆充さんがお迎えしてくれて、山田さんという方が印刷してくださいました。印刷してくれる山田さんの名前を知れて、山田さんには家族がいることも知れて、ネットではできない細かい印刷の調整もしてくれて、それがすごくうれしかったんです。

隆充さんや山田さん、製本をしてくれた宮島さんのおかげで、「この人たちがこんなにやってくれたんだから」と思うと、作ったZINEに自信を持つことができました。

作ったZINEに自信を持つことができました

ーー自分でZINEを一冊完成させてみた率直な感想を教えてください。

めっちゃたのしかったです。紙も綴じ方も冊数もこだわることができて、一番最初に作ったZINEがこれでよかったなって。でも一方で、いざ作ってみたらもっと簡単にも作れるかもとも思いました。

どんな作り方でも、中身が素敵なものだったら心惹かれる本になるというのもわかったし、もしまたZINEを作ろうとなった時の希望にもなるなと。

ーー一度やり切ったからこそ見えてきたんですね。読者の方からはどんな反応がありましたか?

日々感想をもらって、読んで涙を流してくれる人がいたり、文章を褒めてくれる人がいたりして。誰かのために作っているわけじゃないけど、反応をもらえるとすごくうれしいです。

このZINEを届ける時はできるだけ手渡しするようにして、知人でもそうでない人でも「わたしとあなた」というあたたかさのある関係を心掛けているんです。すると、同じあたたかさで返してくれる人がいるんですよね。

販売を開始して一番最初に買ってくれたのは、福岡在住の知らない女性だったんです。たまたま藤原印刷さんがリツイートしてくれたわたしの投稿を見て「ずっと楽しみにしていました」って言ってくれて。すごいですよね。

ーーすごい!

ゆうパックで手紙と小杉湯のおふろのもとと一緒に送ったら、つい先日その方から「お礼と感想在中」という封筒が届いたんです。開けてみたら、手紙と一緒にその方が自分で作ったZINEが入っていて。

今はSNSで簡単に出会えるし、気になればzoomで顔を合わせて話すこともできるじゃないですか。でもその方は手紙で「いつか本当に会えたら、それは美しいことですね」と書いてくれていて、すごく贅沢な関係の築き方をしているなって。自分のために作ったこのZINEから、また何かもらっているなと思いますね。

記事をシェアする

FOLLOW US
Twitter
Facebook
Instagram