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たった75発の花火。無観客・無告知の「非密の花火大会」はなぜ生まれたのか

誰もが自由にアクションを起こせると世の中はもっと面白くなる

——花火大会をやってみて、地元に対する思いは変わりましたか?

本田:僕は滋賀県を出て15年になるんですが、正直地元に対しての愛着ってそこまでなかったんです。滋賀帰っても自分ができる仕事はきっとないと思っていましたが、今回みんなとこういうことができて、本当に良い経験でした。今、人生で一番、琵琶湖が好きになってますね。

石田 そこは僕も同じですね。地元で独立して今6-7年くらいになりますが、大学は東京で最初の就職は大阪と地元を離れていました。仕事以外でも何か恩返したいと思ってたところ、馬場さんからこういう機会をいただいて本当に嬉しかったです。

馬場:こういう状況なので、何かできないかなという思いだけでした。行動を起こさずに終わらせたくないなって。困ってる人がたくさんいて、失敗してでも何かしたいなと思ったんですよね。僕たちには一発目の花火を上げるお金しかないんで、今回、たくさんの方に協力していただいたんです。ほぼ無償のようなかたちでしたが、地元を思う心意気のある方がこんなにもいるんだ、ということもすごく嬉しかったです。

——地元というつながりをきっかけに、さまざまな職業の方たちが協力して花火を上げる。このチームがすごくいいですね。

石田:そうですね。花火大会がないという自分事がきっかけで始まったことですが、業種を超えて共感してくれる人がこんなに多いんだなと。花火師さんだけでなく、予想以上に多くの方に喜んでいただけたことにも驚いています。

馬場:花火師さん自身が困っているから助けてくれとクラウドファンディングをやるのも一つかもしれませんが、結果的に異業種からアクションを起こせたこともよかったなと思います。実際にやってる自分たちも面白いですしね。

本田:僕たちがここまでやってきたノウハウは全部オープンにするつもりなので、ほかの地域でもやってくれないかなと本気で思っています。誰かを助けるため、というとハードルが高くなるけど、誰もが自然とアクションを起こせるようになると、もっと面白いことが各地で生まれそうですよね。

(打ち上げでのひとコマ)

——無事にクラウドファンディングも達成しましたね。

石田:おかげさまで想像以上のスピードで達成できました。最初は目標金額が集まるか不安でしたが、本当にみなさんに感謝です。

馬場:目標金額を超えた分は花火業者さんに寄付しようって、最初から決めていたんです。でもこないだ花火師さんに寄付の話を持っていったら、「どうせなら、そのお金でもっと花火上げたい」っておっしゃってくださって。寄付したお金で、花火業者さんからまたお礼の花火。いま打ち上げ場所を広げられないかなど相談中です。

本田:想いがどんどんつながっていって、まさに、みんなでつくる花火リレーになりました。ほんまええ話ですよね。

編集部のここが「#たしかに」

「花火大会がない」という身近な出来事をきっかけに立ち上がった馬場さんたち。業種など関係なく自分たちの思いで行動し、多くの人たちの共感を呼ぶ様子にとても勇気づけられました。

「非密の花火大会」は2020年8月から1ヶ月間、毎週土曜日に琵琶湖沿いのどこかで打ち上がり、琵琶湖を一周するように花火リレーをします。

クラウドファンディングは早々と目標金額を達成しましたが、目標金額を超えた資金は地元の花火業者に寄付され、その寄付でまた花火業者さんからお礼の花火が打ち上がるとのこと。

琵琶湖でうまれたこの取り組みが、花火の輪のように各地に広がっていくことを願っています!

「非密の花火大会」クラウドファンディングサイト

取材・執筆:石原藍 編集:#たしかに編集部

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