ないのが幸せってどういうこと?奈良の山奥にある“ちょっと不自由なホテル”って?#たしかに

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2020.08.21.Fri.
#たしかに編集部

村の人と外からの人が、交流する風景をつくりたい

——そういえば、クラウドファンディング(以下クラファン)でサウナも作られたとか。そちらも「気持ちを整えていく場所」づくりのひとつなんでしょうか?

もともとは、温泉を作るつもりでした。服を脱いで解放されて、フラットに戻れる瞬間を作りたかった。でも結果サウナでよかったです。というのも、うちのはフィンランド式の本格的なものなのですが、サウナってもともと交流の場なんです。ほら、よく外国のおじさまたちが、屋外の小屋の前に上半身裸で集っていたり、そのまま湖に飛び込んだりって見たことないですか?アレです。

——見たコトあります!大自然の中気持ち良さそうだなぁと思ったことがあります。

薪式で、私が薪をくべるんですが、その時のお客様とのコミュニケーションがめちゃくちゃ濃いんです。サウナでととのって、いろんな話をお客様の方からどんどんしてくれるんです。それがとても嬉しいです。

ume,サウナ

——サウナの力が心を許すんですね(笑)。たしか、建築にはサウナ界で有名な方が協力してくれたと聞きました。

大学時代の友人に相談したところ、サウナビルダーの野田クラクションベベーさんを紹介してくれて「そいじゃ一緒にやりますか」って言ってくれたんです。ご自身も長野にフィンランド式薪サウナを建築し運営されていて、サウナーにはおなじみの方なんです。

——サウナーって初めて聞きました!サウナを愛する人?ですか?

そうです(笑)。そんな有名な方が作ってくれたサウナなので、うちも界隈で有名になり全国からお客さんが来てくれるんです。私より詳しい方も多くて、いろいろ教えてもらっています。よく温泉やスーパー銭湯にもサウナってありますよね?モワッとしてちょっと息苦しい。うちのはそういう感じがぜんぜんないんです。理由は空気の循環。屋外にあって足元から常に新鮮な空気が流れているので、温度は90℃もありますが心地よく汗を流せるんです。一度この本物のサウナを体験してもらいたいです。

ume,サウナ

(サウナビルダーの野田クラクションベベーさんとつくったサウナ)

—— 最終的には650万もの支援があったとか。どんな方が支援してくれたんですか?

知り合いとそれ以外の方と、だいたい3:2くらいのイメージです。お礼に宿泊割引を用意したこともあり、支援してくださった方が実際に泊まりに来てくれています。クラファンには資金面だけでなく、広く知ってもらいたい気持ちもあったので大成功でした。

今後は地域の人にも利用してもらおうと、保健所の許可を取りました。薪割りを手伝ってくれたおじいちゃんたち、野菜を持ってきてくれたおばあちゃんたちにサウナどうぞー、って。

——それは喜ばれそう!まさに、めざしていた集う場所になりそうですね。

集う場づくりは、地域の人を巻き込むことが不可欠だと思っています。外から来た人にこの村の未来を応援してもらうには、繋がりを強くすること、それに調和という意味でも欠かせないですよね。
例えば食事の時に、野菜を作ってくれたおばあちゃんの話をするんです。作り手を想像しながら食事を楽しんでいただく。すると、ただのトマトも、特別なトマトに変わるんです。翌日「畑へ行きますか?」って誘って、「昨日食べた野菜はこんな風にできるんだ、こうやって収穫するんだ」って。村の人たちには日常のありふれたことでも、都会から来た人には新鮮なことがたくさんあるんです。逆に村の人たちにとっては、当たり前のことでこんなに喜んでもらえるのかって。

ume,

——村の何気ない日常の刺激になっているんですね。梅守さんや“ume,”は、村にとって、またお客様にとってどんな存在になりたいのでしょうか?

村の日常に溶け込んで、当たり前の存在として。村の人と外から来た人が自然に交流できる風景をつくりたいです。そして外から来た人には、自然に身を委ねエネルギーを取り戻す場所になれたら。村の人には仕事を提供できるようにもしたいです。

もう少し人と人をつなげられるような仕掛けも考えているところ。ゆるく、でも受け取る方にとってはスペシャルなことを。あそこに行けば何かあると思ってもらえる場所にしていきたいです。

編集部のここが「#たしかに」

私たちはたしかに、文明の恩恵をたくさん受けています。コンビニは便利だし、ネットもスマホもパソコンも、速くて大容量、新しいものが気になります。自粛モードのなか、多くの人がリモートワークを実現できているのも、ネット環境やソフトウェアがあるからこそ。だけど一方で、「リモートワークで仕事時間が増えた」「プライベートとの区別が難しくなった」という声も聞かれます。SNSに際限なく浸かってしまう、不注意な書き込みで落ち込むこともあるかもしれません。便利さと弊害は表裏一体。時には忙しない環境から距離を置いて心を休めること。自然に心と体を委ねることは、たしかに大切だと気づくことができました。

“ちょっと不自由なホテル”は、心と体の元気を取り戻す場所なのかもしれません。梅守さん、ありがとうございました。

ume, yamazoe
https://www.ume-yamazoe.com/
奈良県山辺郡山添村片平452|TEL:0743-89-1875

取材・執筆:松村聡子 編集:#たしかに編集部

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