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お客様だけでなく働く仲間にも価値を。「麺屋 彩音(sign)」のチームが目指す新しいラーメン店の在り方

ラーメンの価値を上げ、業界発展のきっかけを作りたい

――五反田という場所を選んだのは何か理由が?

畠山 ひとつは僕の活動拠点だからですね。自宅がある他に、経営しているレンタルスペースやコスメのセレクトショップも五反田で展開していますし、友人もたくさん住んでいます。

もうひとつはマーケティングの観点でドンピシャだったから。人が集まる理由は「ショッピング」「飲食」「住んでいる」「働いている」「催事」の5つ。ラーメンはレストランなどのようにたまに楽しむ特別なものではなく、基本的に三度の食事の中に組み込まれるものです。ラーメン界の先輩に話を聞いてみると、売上を支えているのはやっぱりリピーターなんですね。だから、僕たちがターゲットにすべきなのは「住んでいる」人と「働いている」人だと思い、その両方が揃っている五反田を選びました。

――すでに3万店以上あるというラーメン屋の中で戦っていくというのはかなりハードルが高かったと思いますが、どんな思いで参入したのでしょうか?

畠山 みんなが知っているラーメンをよりおいしく追及していく路線と、全く新しいラーメンを生み出していく路線があって、そのどちらもやっているラーメン屋にしたかったんですよね。

そこにも理由が2つあって、単純にお客様に革新的なラーメンを提供して何度でも楽しんでいただきたいから。もうひとつは、ラーメン業界の発展を担う店になりたいという思いがあるからです。

麺屋 彩音(sign)

――ラーメン業界を発展させる。

畠山 店舗数が多いぶん、商品の開発が飽和して味のパターンが決まってきてしまうと、新しい猛者が入ってこないと思うんですよね。そうなると業界の発展がなかなか進んでいかない。だから僕たちが、みんなが唸るような革新的でおいしいラーメンを作って、「麺料理の世界はもっと奥深いし、もっと新しいことできる」というのを実際に示していきたいなと。

それによって、フレンチやイタリアンといった他のジャンルの有名なシェフがラーメン界にどんどん進出してきたらさらに面白くなるし、業界も発展する。何よりお客様にも喜んでもらえると思ったんです。

――なるほど。業界全体を鼓舞していきたいという思いがあったんですね。

畠山 そうですね。あとはそれに付随して、ラーメンの単価を上げていきたいと思っています。今は800~850円が主流ですけど、物の価値に対して安すぎると感じていて。それによって、より良い素材を使った商品開発が妨げられてしまっている現状があります。

だから、「こだわった素材を使っておいしいラーメンだったら1000円以上でも当たり前」という世の中にしていきたいんです。お客様の認識も変わっていけば、そのぶんさらに素材にこだわった新しいラーメンが開発ができる。うちの「限定らぁめん」も1,500円と強気な価格ですが、だからこそ革新的なラーメン作りに挑戦できているんですよね。

麺屋 彩音(sign)

▲2月の限定らぁめん「シーラカンス」

――すごく納得しました。ライバルを蹴落としていくのではなく、全体で盛り上げていこうと。

畠山 はい。ラーメンの単価が1000円以上になれば、それこそ「まだまだ戦う余地があるな」とラーメン界にいろんな飲食業の人が入ってこられると思うんですよね。猛者たちが参入して異種格闘技みたいに戦っていけたら、もっともっとおもしろくなるんじゃないかな。

――今後が楽しみですね。実際にお店をオープンしてみて、よかったなと思うことはありますか?

浅井 たくさんありますけど、お客様が常連になって「今月は何だろう」って楽しみにしながらお店に来てくださるのが、すごくうれしいですね。やっていてよかったなって。

畠山 そうだね。あと僕は、スタッフや関わってくれる人が楽しそうなのを見るとうれしいですね。

浅井 スタッフはみんな仲が良くて、楽しく仕事ができていますね。店づくりも、それぞれの強みを生かしてやっています。たとえば、看板や名札はアニメが好きで絵が得意なホールマネージャーが描いてくれているんです。

麺屋 彩音(sign)

▲営業中の看板。今回お店に伺ったときは漫画『ハイキュー』のイラストでした。

――「みんなで作る」という感じがとても伝わってきます。

畠山 僕がオーナーという立場で言いすぎるとみんなの良さが活きなくなってしまうので、基本的にはお任せしながら、よりよくなるためのアイデアが思いついたら相談するようにしています。

関わってくれているメンバーは、本当に個性的で人柄がいいんです。このチームでだったらどこまでもいけるだろうなと思いますし、僕は「人」に確信していますね。

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